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エリン・ブロコビッチのEyesworthのレビュー・感想・評価

エリン・ブロコビッチ(2000年製作の映画)
4.6
【脅迫にも妥協にも負けず掴んだ勝利】

スティーブン・ソダーバーグ監督が実話に基づいて制作した痛快なサクセスストーリー

〈あらすじ〉
交通事故に遭い、さらに賠償金も取りそこねた無学で無職のシングルマザーのエリン・ブロコビッチ(ジュリア・ロバーツ)が、担当弁護士の事務所に押しかけ、働き始める。そんな折、ある巨大企業による環境汚染の実態を知った彼女は、情熱と正義感で無謀な戦いに挑む…。

〈所感〉
正式な法律教育を受けていないにもかかわらず、1993年にカリフォルニア州の大手企業PG&Eを相手取って訴訟を起こし、アメリカ史上最大の3億3300万ドルという巨額の和解金を勝ち取ることに成功した女性の物語。頭の固い法曹界に無学無職のエリン・ブロコビッチがメスを入れる様が見ていてスカッとする。ジュリア・ロバーツの主演女優賞も納得の演技。自由で融通無碍で型にハマらないエリンという人物をよく表現できていた。理不尽に対して泣き寝入りせざるを得ない市民の声を直接拭いとって懸命に取り組む姿が心を打つ。社長のエドは保身型の手堅い弁護士だが、エリンにタヌキ呼ばわりされても最後まで寄り添い続けるのが偉い。この老若のコンビネーションが最高。そして隣人のジョージ、最初は悪いヤツだと思ったがまさかのナイスガイで子育てに手が回らないエリンを家庭で支える。主夫の先駆けではないか。彼あってのエリンの偉業である。ただ、実際はベビーシッターとしてエリンから報酬を貰っていた上、その後更なる金銭を求めて、彼女を相手に訴訟を起こしているという。やはり現実的にナイチンゲールのような無償の献身は難しいようだ。また本作では、育児そっちのけで大企業との戦いに奔走する母エリンに、子ども達も最後には理解を示す描写が為されているが、実際は十代になった子ども達は、ドラッグ漬けになり大変な目に遭ったという。その後も環境活動家として、公害企業との戦いに身を投じているエリンだが、2012年には3度目の離婚となったそう。誰もができるわけではない社会問題の解決には成功した彼女だが、家庭問題はどうにもならなかった。皮肉な話だが、現実では家族すら全員からの本当の理解を得られるのはとても難儀なことなのかもしれない。あと、今どきは良くないのかもわかないが、エリンは巨乳や顔、お尻などを自信満々に強調していて、女を最大限に使ってビジネスの武器にしている所が好感が持てる。そう、自分の身体を利用することになんの罪も無い。男には到底できない芸当なのだから。
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