パケ猫パケたん

グラディエーターII 英雄を呼ぶ声のパケ猫パケたんのレビュー・感想・評価

4.0

前作(2000)が✨神✨過ぎたので、追いつかないかも


『グラディエーターⅡ』 (2024)
  🇺🇸USA 🇬🇧UK 148分


●スタッフ

監督
リドリー・スコット

脚本
デヴィッド・スカルパ

音楽
ハリー・グレッグソン・ウィリアムズ

撮影
ジョン・マシソン

【史実を交えた、オリジナル脚本作品】


●キャスト

ポール・メスカル
(ルシウス ルッシラの息子)

ペドロ・パスカル
(アカシウス将軍)

デンゼル・ワシントン
(奴隷商マクリヌス 実在)

コニー・ニールセン
(ルッシラ 実在)

ジョセフ・クイン
(ゲタ共同皇帝 実在)

フレッド・ヘッキンジャー
(カラカラ共同皇帝 実在)

デレク・ジャコビ
(グラックス議員)

アレクサンダー・カリム
(ラヴィ医師)

ピーター・メンサー
(ヌミディア人の族長、剣闘士)

【実在かどうかは、オイラがネットで確認した限りです】


●レビュー

二回観ました
原因は二つ
1.傑作かどうかを確かめるために
2.ストーリーや、人間関係、史実を確かめるために
パンフレットが、まさかの製造予定なしだったので、ビックリ、苦労しました

2.について、先に書きます

映画鑑賞後に、「話しが難しい」と感想を述べている人がいたので、まぁ、それも無理が無いかなって思った
人名が、難しいからね~

『グラディエーター』(2000)を観ていると、ルッシラとルシウスが親子である事が分かり安いし、ルッシラが如何に、歴史上のファム・ファタールかと思い至るから、まるで、断頭台に立つかのようなお姿には、トリハダものでした

映画では、ゲタ皇帝が兄、カラカラ皇帝が弟の設定だったが、史実は、逆でした
カラカラ皇帝は、ネロ皇帝よりも、暴君と評価されていたので、ビックリしました

また、デンゼル・ワシントン扮するマクリヌスも、実在していて、今のアルジェリア出身なので、黒人が皇帝にまで上り詰めた史実に、驚きました

二度観て、マクリヌスの謀略が、ルシウスがゲタ皇帝に放った矢にヒントを得た、演技をしていたので、そこに気がついて、オイラは怖くなって来ました

マクリヌスの執念が凄くて、その演技を観れただけでも、二度観た甲斐は在りました❗ アカデミー賞の本命でしょう

前回に比べて動物などのCGは、良くなっており、コロシアムでの海戦の再現、
その水のなかにサメが泳いでいるなど、
人間の残酷さが、現代と変わらず、リアルで怖かったです

また、カラカラ皇帝は出来が悪いにしても、ゲタ皇帝は教育などが整っていれば、それなりの理性を有している事が描かれていました

『グラディエーター』では、冒頭、収穫前の金色に輝く麦の穂を、手で触る、触覚的な演出が巧かったけれども、今回も、踏襲されています
収穫された麦の粒を、主人公ルシウスが握りしめる場面です、云わば、一つの成果が実った時代から始まります

ラストシーンでは、ルシウスは、血に染まったコロシアムの土塊を、握りしめます、平和はここからだと

さて、上記1.についてです

これら、触覚に関する場面に於いては、ハンス・ジマー作曲の名曲が流れました
今回の音楽担当は、ハリー・グレッグソン・ウィリアムズです
単刀直入にいって、ハリーの音楽は、ハンス・ジマーのそれよりも、胸を打って来ません
リドリー・スコットの演出を見ても、その事は自覚している場面でした

次に、映像について

前作『グラディエーター』の魅力については、異国、北アフリカの喧騒も、見事に描かれていて、また、別の惑星のような魅力があった
しかし、今回の映像は、北アフリカの別文化が描き切ってはいない、また、舞台もほぼ、ローマなので、展開の魅力に欠ける

撮影は、前作同様、ジョン・マシソンであるのだが、リドリー・スコット作品らしい光と影の乱反射するかの陰影、そして、砂埃が足りないと感じました

ローマの場面で、風の音が絶えずしていたので、フェリーニ・スタイルだなぁとニンマリしましたが、フェリーニだと、ローマの美術の優雅な誇張があるので、
彼が『フェリーニのグラディエーター』を撮るとどう面白くなるのか、と妄想しました、妄想する余裕が在りました

彼岸とか、死神の描写は、ベルイマンの『第七の封印』を連想させて、凄かったです、彼岸の概念は東洋から、来たのかなぁ

また、この映画の中で、紙で出来た日傘が出てきたので、オリエンタリズムを感じました、中国とも交易が在ったのだろう

傘とかの、小道具でオリエンタリズムを感じさせるのは、ベルトルッチの『ラストエンペラー』を想起させてくれます
また、夕暮れの場面が異様に、美しかったのも、ベルトルッチを連想させる、ひとつの目配せでしょうか

ただし、絶対的に違うのは、
圧倒的な描写力の場面が、この映画には足りないと思う
例えば、ヴィットリオ・ストラーロが撮影監督ならば、確実に、仕留めてくれたと、思う

だから、秀作どまり、が結論です

史実では、
コンモドス皇帝の死亡が、西暦192年
カラカラ皇帝、ゲタ皇帝の即位が、
西暦209年です
ローマ2000年の歴史に於いても、僅か、
18年の間に様々な、事件が起こっています

奢れる平氏は久しからずや、は
古今東西、共通なんでしょう
そして、現在に於いても



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