台南の老舗映画館「全美戯院」で映画看板を50年にもわたって描き続ける絵師 顔振発氏にフォーカスしたドキュメンタリー。
板は一枚が結構高いから使い回し、作業は路上で行うと言う、顔さんにしか出来ないスタイル。
描画スタイルも、緻密な下書きはあれど塗りは躊躇いがほとんどない感覚タイプで、密着に同行したイラストレーターの三留まゆみさんのとは根本から異なる独自性と、異彩を放っていた。
(スパイダーマンの看板をスラムダンクに塗り替えるのだが、ゴリがめっちゃ絶妙な位置に描かれていた)。
顔さんの先祖を辿ると、孔子の弟子の顔回にまでたどり着くエピソードが語られたり、顔さんの視力が相当に衰えているらしいのだが、観ている内にはそれに気づかなかったくらいには筆に躊躇いが無かったりで、そっちの部分でも魅せてくれた。
映画看板って、正直言って似てはいないと個人的には思うけど、だからってそれに味がないとも思わないから、どこの国でも斜陽なんだろうけどまだまだ残ってほしいとは思うな。