リアタイで見れなくて結構後悔してた「ONE PIECE」から切り出された一話限りの短編。
ロジャーが幕開けを告げた大海賊時代と言う最悪の時代の、海賊らに踏みにじられる市井の悲哀は、「FILM RED」の冒頭などにも観られた、あの時代には当然あったであろう要素であろう。
「ONE PIECE」についての知識がさらにあれば、その奥には汚職海兵とか天竜人の横暴とかもあるから、つくづく、あの世界は市井に対して厳しく、夢など持つな、平穏を享受できるだけありがたいと思え、そう言っているようだ。
そして、今回スポットライトが当たるのは、「夢など持つな、平穏を享受できるだけありがたいと思え」と世界に言われているような、本誌やアニメではモブにすらなれないキャラクター。
麦わらの一味の中ではお世辞にも強い方とは言えないが、その航海技術の高さゆえに一味に無くてはならない存在のナミ、そんな彼女に憧れる少女を主軸に話は繰り広げられ、その名もなき少女にとっては大冒険でも、麦わらの一味の冒険にも本誌掲載・アニメ既放送内容に影響を与えることはない。
それでも彼女にとっては大きく意味のある一日限りの冒険だったことには違いないだろう。
ある程度、当然のように原作知識は要る短編だが、それがある自分には市井の等身大の営みが見れる愛おしい作品として映った。