いち麦

クロス・ミッションのいち麦のレビュー・感想・評価

クロス・ミッション(2024年製作の映画)
4.0
原題:크로스(クロス)。夫婦の間で隠し事はイケナイ。
やり手で射撃の名手、女性刑事カン・ミソンと完璧な主夫業で彼女を支えるパク・カンム(字幕では“ガンム”となっていた)の公私に亘るチームワークと夫婦愛。主流となるクライム・サスペンスに意外な展開が仕込まれていて楽しめた。
一方でコメディ要素も。自らの“身”を“呈した”欺きや大笑いの“秘密兵器”搭載車両を使っての逃走など、下品なファン・ジョンミンが笑わせてくれた。彼がときどき見せる剽軽な表情がまたイイ。「密輸1970」にも出ていたヨム・ジョンアはクールな刑事役が嵌っていたが、彼女のアクションにはキレる場面だけではなくコミカルな場面もあって愉快。拷問要員たちのイカれた風貌にも目が行った。
軍内部の薄汚い体質をさりげなく突いている辺りは、日本映画には真似できない韓国映画ならではの自由度の高さだと思う。

字幕翻訳は鷹野文子氏。

《覚え書き》
ミソンの同僚が彼女の夫(ファン・ジョンミン)のことを“제수씨“(義妹=弟の妻)または“형수님“(義姉=兄嫁)と呼んでいて面白い(ミソンのことは男として見ている。その上で同僚がミソンより歳上か歳下かによって呼び方が変わる)。字幕ではどちらも“奥さん”と訳していて上手いなと思った。
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