パトラ

CURE キュアのパトラのレビュー・感想・評価

CURE キュア(1997年製作の映画)
3.8
そこまで黒沢清監督のことを知らないのだけど、この人にしかこの映画は撮れないだろうなと思った。

観客に物語を読み取ることを要求してくるというか、行間を読ませる映画。
自分の理解力ではちょっと分からないことも多かったので、見終わったあとに解説とか考察を調べることになった。


面白いなと思ったのは、恐怖の感じさせ方。
今どきよくあるというか、主流の恐怖演出っていうと、
化け物とか殺人鬼が効果音とともに、『バーン!』って突然出てくるとか、
貞子みたいな怨霊系が『ヒタ…ヒタ…』と近づいてくるとか、
そういう感覚なイメージなのだけど、CUREでは、『スッ』と、さりげなく日常の中に紛れ込んでくる演出で攻めてくる。日常と異常が分け目なく混じりあっているというか。
みんながビビったと思う、部屋の明かりをつけたら✕の印があったあのシーンとか、まさにそれ。



人が人を殺すっていう異常事態が前触れなく、日常のほんの1コマくらいの感覚で差し込まれてくるから、見ていてギョッとする。

ある程度映画慣れしていると、この『人が人を殺す』っていうのが当たり前になってしまうという、それはそれで恐ろしい感覚になってしまうのだけど、
このCUREでは、それの見せ方が非常に独特で、古い映画なのだけど新鮮だった。


通な人というか、じっくり物事を考えながら集中して映画を楽しめるタイプの人には、めちゃくちゃ楽しい映画だと思うけど、少し自分は乗りきれない部分があったので、これくらいの評価にしておきます。
パトラ

パトラ