パトラ

冷たい熱帯魚のパトラのレビュー・感想・評価

冷たい熱帯魚(2010年製作の映画)
3.2
園子温監督のことは詳しくないのだけど、この監督の世界観がすごい出ている映画なんだと思った。
良い意味でも悪い意味でも。

自分はこの映画、シンプルに好みではなかったのだけど、この世界観とか表現が好きな人がいるのは分かるし、好きな人はトコトン好きになるなって思った。


良いとこ

・『生きるってのはな、痛いんだよ!』のセリフに象徴されるように、自分の人生をこと無かれ主義で、遠い星を眺めるかのようにどこか他人事として生きてきた社本が、痛みを受け入れていく流れが、このスプラッターでグロテスクな映画の中で奇跡的に表現されている。
村田や愛子の凶行や死体処理のグロさだけの映画になっていない。
キモくてグロくて最悪な展開なのに、ちゃんと人間ドラマになっている。

・140分くらいの長い映画なのに、飽きない。無駄だと感じるシーンも少ない。
けっこう早めに村田のヤバいところを出してくれるから、話が動き出すのが早くていいね。


好きじゃないとこ

・女性を、なんていうか、『メス』として捉えている感じ。あからさまにセクシャルなファッションと、厚い化粧、やたら挟まれるセックスシーン。女性キャラはほぼ、性的なモノとして扱っていない感じ。
まぁ、暴力的な男性性と、支配されることに喜びを感じる愛子の女性性が主軸だから、それは仕方ないのかもだけど。

・監督の世界観や人間観が濃すぎる。
セックスを見せつけるシーン、
愛子の性を開けっ広げにしたキャラ、
村田が女たちの心をつかんでいく様子、
村田の人間関係周り、
社本が変容してしまうところ、
社本が妻も殺して自殺までしてしまうところとか…
色んなところが、別に支離滅裂とか説得力がないとか、そういうわけではないのだけど、
もはや映画というか、この監督の頭の中の世界を直接見せられて感覚になった。
その感覚が自分は好きになれなかったかな。だからここにハマれる人は、ホントに好きなんだと思う。
パトラ

パトラ