Shiny太田慎一郎

ブルータリストのShiny太田慎一郎のレビュー・感想・評価

ブルータリスト(2024年製作の映画)
4.7
アカデミー賞まじで獲るんじゃないか???
21世紀の『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ』です。
こういう壮大なアメリカ叙事詩でかつ皮肉や批判があるもの好き。

ヴェネツィア国際映画祭にてプレミア上映で観ました。エイドリアン・ブロディやフェリシティ・ジョーンズ、監督と近くの席で観れて良い経験でした。レッドカーペットの入った先の一番の劇場で観ることができました。

3時間半ある巨編ですが、70mmフィルム上映で巨大スクリーンで観ることができ、非常に貴重な経験でした。(この直前に「WOLFS」に出演してるジョージ・クルーニーにサインを貰った直後でソワソワで汗だくでしたww)

映像は映画祭で観たどの映画よりも素晴らしく、あのオープニングと音響効果は一生忘れられない。

『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ』やポール・トーマス・アンダーソンの作品が好きな人はこの映画絶対好きだと思います。特に撮り方や演出面で。

何章かに分かれているのですが、急に時代が変わった時にきっかけを写すこともなく人物が変化するのには若干困惑しました。


* 映画祭5日目で疲労感が半端なく英語の字幕なしで流石に理解力が完全では無かったので、ミスリーディングしたこともあった。イスラエルの話とか場面が出てきたときに、欧米ということもあり周りは絶賛する中、現在の(というより70年もの間)ガザの状況において私はイスラエルの行為はジェノサイド以外の何ものでもないと思うので、イスラエルという国家を当たり前に存在させている雰囲気には少し違和感を感じていた。がしかし逆にこの映画はそれらを批判しているとのことだ。
⬇️
後日ヴェネツィアで仲良くなったカナダ人の友達と話してて、この映画とシオニズム(ユダヤ人の国家建設運動思想であり、イスラエルによるパレスチナ排除概念の根底)についてのコメントが参考になったので、以下に和訳して載せます。

「この映画とシオニズムについて語るべきことはたくさんあるが、この映画は間違いなくシオニズムを批判していると思う。皮肉を込めたつもりで、主人公と彼の仲間は、たとえ無意識であっても抑圧者になることによってのみ搾取から逃れることができた。また、偉大な芸術はしばしば上流階級によって支えられ、自分たちのアジェンダを広めるための道具として利用されるという映画のテーマにも触れている。(監督の)コーベットは最近、パレスチナのドキュメンタリー映画『No Other Land』を取り上げ、配給が必要だと大々的に言っている。だから彼は間違いなくシオニストではない。」


結論めっちゃ面白かったです。映画館で観ないと絶対だめ。おすすめです。

「観る」というより「体験」でしたね。


今回ヴェネツィアで観た15作品のうち、ブラジルの「I'm still here」と同じくらい印象的でした。