CHEBUNBUN

Love(英題)のCHEBUNBUNのレビュー・感想・評価

Love(英題)(2024年製作の映画)
3.0
【ノルウェー映画が今熱い!】
先日行われた第81回ヴェネツィア国際映画祭にて批評家の評判がやたらと良いノルウェー映画があった。『Love』である。司書であり小説家のダーグ・ヨハン・ハウゲルードが「SEX,LOVE,DREAM」三部作の一本として発表した作品なのだが、いつも三大映画祭で観た作品に大抵星1をつけている海原雄山のような人も唸らせる傑作らしい。ここ数年、ノルウェーの心理劇がやたらと強い。実際に観てみた。

本作は、泌尿科医を中心に肉体、精神、社会の観点から現代の恋愛観を紐解く内容となっており、ひたすら哲学的な会話を繰り広げる。パートナーを必要としない者、男性関係を望んでいる友人との関係から、自由恋愛が謳われている現代においても社会のコードが多様な人間関係を阻害していると物語る。本作では、ショットを決めていく場面に重要なものを隠しており、例えば、オスロの歴史的建物に彫り込まれた肉体を通じて、人類の自由になれない社会コードが示唆される仕組みとなっている。正直、かなり込み入った恋愛観の物語かつ不得意ジャンルなのであまり語れるものはないのだが、『怪物』や『ぼくのお日さま』のようにジェンダーの扱いで批判される日本映画が散見される中、本作は重要な一本といえる。つまり、日本のクリエイターにとってジェンダー描写に学ぶところが多い作品なのである。
CHEBUNBUN

CHEBUNBUN