原作の本は"Dylan Goes Electric"とのことで、アコギ一本でデビューしたディランが文字通りエレキギターに持ち替えて「時代を変える」までの、1961年からの5年間を描いた作品。………のれず。もっと自分がボブ・ディランのファンだったらなぁ、熱狂し涙し、それこそ転がる石のように感情かき乱されること間違いなしなんだろうけどな、門外漢からすると、いきなり売れて大変やったなあ、ぐらいの感想にとどまる。
彼女から「出自よ出自!アンタ何者なのよ、喋りなさいよ」と詰められ、それに対するアンサーが「俺は、名もなき者」。伝記映画といいつつも描かれるのはたった5年、結局ディランの出自にフォーカスが当たることはない。歌詞を曖昧にしてメッセージをぼかす人だとかって聞いたことあるけど、この作品自体も、意図的なのか、何を伝えたいのかぼくには掴みづらかった。
アカデミー会員は「実在の人物の精巧なモノマネ」が大好きだからウケが良いかもしれない、などというとなんか悪意ムンムンで申し訳ないですが、そんなつもりなくティム・ディランの主演男優賞、あながち幻想ではなさそう。