インドネシア・アクション「ロスト・イン・シャドー」の興奮冷めやらず、Netflix新配信のタイ・アクションを。なんと147分。
ぽっと出の救急隊員ワンチャイが、社会の闇に遭遇するドラマ「バンコク・ブレイキング」の劇場版。タイには公務の救急車も走っているものの、レスキューは、華僑財団の慈善団体が主流らしい。ドラマも本作も、その財団が巨悪。
黒澤明「天国と地獄」とラジ・リ「レ・ミゼラブル」郊外巨大団地映画を合体したような作品。貧困層の団地が「地獄」で、ティモ・ジャヤントよりは社会批判がある。
団地の地上げを目論む財団トップの娘の誘拐にからんで、誘拐犯グループ、財団私設軍隊、団地内ギャング、立ち退き反対のデモ隊、警察の五つ巴。その上、財団が内部分裂したり、財団救急隊員が団地内ギャングと麻薬臓器ビジネスでつるんでいたり、デモ隊に財団のスパイが潜入していたり、もちろん警察は腐敗していたりで、事件に巻き込まれたワンチャイと看護師インターン以外は、登場人物の立ち位置が分からなくなる。
が、相関図など気にしている暇のないゴアゴアなアクションの連発。
警察が平気で実弾発砲したり、デモ隊に団地住民ではない僧侶が混じっていたりに、タイ社会のリアリティを感じる。