このレビューはネタバレを含みます
もちろん城定秀夫なので決して悪くはないのだが、今ひとつ踏み込みが足りないように思えてならない。というのも本作の不快さは主に咀嚼や湿った地面といった音と俳優の演技(特に深川麻衣を脅す田口トモロヲの場面で繰り出される二人の顔アップは絶品)によってもたらされるのだが、画面のレベルでは割と品が保たれているのでそこが乗り切れなかった点かもしれない。このジャンルなら露悪的なところまで行っちゃっていいと思うのよな。脚本で入っている内藤瑛亮がもし監督もしていたら……と思わずにはいられないのだ。とはいえ、村八分を受け夫も殺された片岡礼子が若葉竜也・深川家の庭の木で首吊りしているシーン、家の中でポテチを貪り食っていた深川→外で吠えまくっている犬から右へカメラがスライドすると木の裏で隠れていた片岡礼子の足が現れる、というショットはお気に入り。