さるやん

嗤う蟲のさるやんのレビュー・感想・評価

嗤う蟲(2024年製作の映画)
3.7
私感ですが、最近村や地方を題材にしたサスペンスやホラーを多く見かけるような気がします。

これは都心部と地方の格差が最近富みに広がったことを揶揄してるかのようにに思えます。

今作も都会から来た今風の夫婦が、田舎の村に移住して、その村にある掟の狭間に苦しめられるという話です。

いわゆる、村八分の話でありますが、
流石、城定秀夫監督、単なるサスペンスだけに終わらせていないところも見事です。

イラストレーターで在宅作業がをしている長浜杏奈(深川麻衣)脱サラして田舎での農作業に憧れる上杉輝道(若葉竜也)

お隣さんに挨拶しようとすると奥さんが錯乱状態。導入部から不穏な雰囲気が続きます。

村の顔役である田久保千豊(田口トモロヲ)に挨拶に行くも、一瞬警戒される、が、移住者とわかるとにこやかに。

村ぐるみで歓迎されるも、子供はまだなのか?とか子作りに良い食べ物をやけに勧められる。

田久保に気に入られる上杉であったが、実は村には秘密があった。

どんどん、村に取り込まれていきそうになる上杉と、妊娠してから村人の過剰な過保護さに訝しむ長浜。

ここで、いままで都会で暮らし、まだ都会との接点を持ってる長浜と、少しでも村人と仲良く成りたいと思っている上杉との温度差や、過去に洪水で村が壊滅しそうになったことなど都会vs過疎地の縮図など示されたりもします。

今作でも村八分の問題も扱ってますが、厳しい掟や、御法度に手を出してまでしないと生き残れない地方の残酷さも浮き彫りにされました。

また、村自体が首長の元に団結されると小さな力であがらえない、そう、横溝正史のミステリーのような感じも伺えました。

果たして、この都会から来た夫婦はこの村に逃げたせずに同調するしかないのか、それとも……
そして、村が隠している秘密とは。

派手さはないですが地味な展開で強さを煽っていく演出で面白く見れました。
ただ、村に子供がまったく、いなかったり、警察組織があまりにもいいかげんだったりと少々ファンタジーよりになりすぎて現実味が薄れてしまったのが残念です。


2月 16本 2025 42本目


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