ヒトラーの腹心で、プロパガンダを主導する宣伝大臣として、国民を煽り戦争に駆り立てたヨーゼフ•ゲッベルスの半生を描く。
「映像の世紀 バタフライエフェクト“ゲッベルス 狂気と熱狂の煽動者“」を予習しての鑑賞。
あれっ、本作のゲッベルス、デカくない?
それに居直っているのか、やけに堂々としてる。もっと色々屈折してる人物という認識だったのだが‥。
小児麻痺の影響で右足が不自由で特殊な装具を付けており、普通の少年時代が送れなかったことが大きなコンプレックス。
大学で文学を学んだが、当時報道や出版業界はユダヤ人経営者が多く、原稿が採用されなかったことでユダヤ人に激しい憎悪。
そんなコンプレックスと憎しみに凝り固まっていた彼だったが、聴衆の感情を揺さぶる演説の才能で、信奉するヒトラーから信頼を得て“救世主“ヒトラーを作り上げる筋書きを次々と用意していく。
「大衆とは弱く脆弱で怠惰な人々である」
「私がビルの屋根から飛び降りろと命じていたなら、彼らはその通りにしただろう」
恐ろしい人物だが、ヒトラーを最後まで見捨てなかったのはさすが。
でも愛情が冷めきっていた妻はともかく、ドイツ人家族のお手本として6人の子供たちを散々宣伝映画に使い、用が済めば道連れにするという行為は許されるものではない。
ヨアヒム•A•ラング監督は、「世界各国では右傾化が強まり、ドナルド•トランプのようにネットやSNSを行使して国民を扇動するような人物が現れている今だからこそ、本作を描くべきだと思った」と語る。
ゲッベルスは当時の最先端のメディア、映画、ラジオそして演説を巧みに使い、プロパガンダを広めていった。
フェイク、陰謀論の必要性に早くから気づき、目的の為なら嘘を広めることになんの疑問も持たずに実践した人物である。
私たち弱い大衆は、そんな嘘に騙されないようにしなくちゃなぁ。