東北・南三陸の港町が舞台。地方の空き家問題を中心に据え都会人と田舎の人たちとの爽やかで切ない交流物語。今も震災の傷跡残る傷む心を抱え、コロナ禍で感染防止に暗中模索で取り組む“宇田濱”の人たちをユーモアを交えながらも真摯に描く。その視線がとても温かい。様々な色合いのエピソードが交わるがリアルでしっかり交通整理されている感じ。さすが宮藤官九郎の脚本。何度もクスッとさせられた。
何といってもオンパレードの海鮮料理・郷土料理。こちら見ていると直ぐにでも酒が飲みたくなってしまう質なので本当に困った(でも東北6県ちゃんと言えるのはモチのロンです)。
田舎の空き家活用を大きなビジネスに繋げようとする晋作の会社社長の取り入り方が何かイヤらしい感じで演じた小日向文世との絶妙な親和性(笑)。このビジネス、そう簡単には行かない現実もしっかり見せていて好感だった。着地はまぁこうなるだろうなと予想した通りでも一寸だけ爽やかに捻られていた。
主人公の晋作を演じた菅田将暉は“菅田くん”…と思わず君付けで呼びたくなるくらい純粋で感受性高い青年を好演。聞いている方が恥ずかしくなるようなナイーヴな台詞でも、この“菅田くん”なら全然OKだろう。
そして、こんなに地元を愛してくれる好青年にはもう二度とは出会えないかも…という焦燥感にも似た思いが、辛い家族の過去に縛られ未だ抜け出せずにさえいる百香によぎる。そんな彼女の葛藤がよく伝わってくる井上真央の演技だった。竹原ピストルも三宅健も嵌っててホント可笑しかった。