タマル

ファーゴのタマルのレビュー・感想・評価

ファーゴ(1996年製作の映画)
1.3
何が面白いのか全く全然わかりませんでした。

以下、レビュー。


『ノーカントリー』も大概だったけど、本作も全く驚く要素もなく、緊張感もなし。こんなんでR15指定とか、つくづくアメリカのレイティングは腑抜けだなー。三池映画とか見たら卒倒するんじゃねえの?

冒頭、“THIS IS A TRUE STORY”
から始まる文章。
なんかこの手法見たことある。
そうだ、『悪魔のいけにえ』の冒頭のかましだ!!と思ったら、案の定本作もフィクション。しかもこっちは作中でネタバラシしちゃうという。 ダセーし、スベってて寒い。雪だけに。
雪だけに。
あ、田舎映画としても『悪魔のいけにえ』のが見どころ多かったな。比較対象が凄すぎるかしら。

序盤で今から起こる事件の計画とその犯人が明かされてしまう。古畑もといコロンボメソッド。
けど、大丈夫か? 100分ある映画でネタバラシからって。 展開辛くない?しかも、狂言誘拐だろ? 絶対失敗するじゃん、ストーリーの展開上。 逆に失敗しなかったら映画として斬新だけど、、と思ってたら案の定失敗して大事件に発展。
そりゃそうでしょうね。
なんて普通の映画。
あーつまんね。

そういえば、狂言犯罪から事件が致命的に悪化する名作映画あったな。
『その土曜日、7時58分』だ。
あれも最初に犯人がわかるパターンだけど、時間軸を巧みに操ってて本当に面白かった。ストーリーと心情描写が完全にマッチしてて、どのキャラも全員興味深かった。ストーリーが進むにつれ、事件と関係性の複雑な構造が明らかになっていくテリングもすごかった。
本作は?
関係性を描くときは、全部別々のシークエンス。下手くそかよ。
完全に犯人側、夫側、刑事側が分離してる。
それならそれで、何気ない行動が彼らを結びつけるとか、偶然ながら間接的に彼らが接触することになるとかできるはずだがそれもしない。もしかしたらそもそも出来ないのかもしれないが。
完全にストーリー展開の都合上事件を進展させてるのが見え透いて、とてもつまらない。
というか、刑事が出てきた時点で、しかもその刑事がかなり焦点化されていた時点で、このお話の結末は大体限定されたと思ったんだけども、何一つその予想を超えてきませんでした。

最後に雪描写。
もちろんいいよ?
いいんだけど……うん。
風景描写ってさ、風景描写である以上に心情の反映であると思うんですよ。もしかしたら、名優のクローズアップよりも雄弁に感情を写し出す媒体なのではないかと思っています。
本作にその要素あったかな?
綺麗は綺麗だったけど、そこにストーリーに見合ったエモさはあったかな?
私は感じませんでした。
だとすれば、エモさ以外のあらゆる側面を含んだ雪の雪による雪の為の雪礼賛映画『八甲田山』という名作があるわけで。『八甲田山』見るわい。

結論、本作はふつーでした。
ふつーっていうのが一番ダメです。なんせ、何にも尖ったところがないから。その普通さにむしろ腹がたつ。
ただし、嫁を誘拐する一連のくだりは、犯人のスタンスや関係性やキャラクター性がよく出ていて非常に良かったと思います。
多分、その部分だけが、皆さんがおっしゃる「ファーゴ感」の内の唯一面白いと感じられた箇所でした。

以上です。
タマル

タマル