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ニッケル・ボーイズの一人旅のレビュー・感想・評価

ニッケル・ボーイズ(2024年製作の映画)
4.0
ラメル・ロス監督作。

アフリカ系米国人作家:コルソン・ホワイトヘッドによる2019年の同名小説の映画化で、本作は第97回アカデミー賞で作品賞及び脚色賞の2部門にノミネートされました。製作総指揮には「プランB」のブラッド・ピットが名を連ねています。

ジム・クロウ法時代の1960年代の米南部フロリダ州を舞台に、無実の罪で有罪判決を受け、黒人たちの少年院:ニッケル校に送られた黒人少年:エルウッドとその友人:ターナーの試練と友情を描いた社会派青春ドラマです。

実在の黒人少年院に着想を得て書かれた小説を基にしたフィクション映画で、黒人差別が横行していた1960年代のアメリカ南部の少年院で黒人少年たちを待ち受ける不条理な体験と管理者の不正&腐敗を、少年院で運命共同体となった黒人少年二人の友情の形成を軸に描いていきます。映画の特色は、ほぼ全編が少年二人の一人称視点で物語が進行していく点で、観客は少年院での一部始終を少年の目で追体験する作りとなっています。また、少年院に収容されていた60年代の過酷な体験と、その記憶を引きずったまま大人になった現在の主人公の姿を交錯させて描くことで、法制上の人種差別が撤廃されてもなお癒えることのない被差別経験者の深い心の傷を静かに浮かび上がらせています。
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