なつこ

Flowのなつこのレビュー・感想・評価

Flow(2024年製作の映画)
5.0
昨年から2025年の大本命と思ってきた今作がようやく公開!!!

「(今作は)映画の意味を見つけるのではなく、体験して欲しい」という監督の言葉通り、あっという間に没入して、一緒に初めての冒険をさせてもらいました。

とにかくこの監督のカメラワークが大好き!!
黒猫ちゃんが森を逃げるシーンも気持ちのいい画角でスピード感いっぱいだし、水面と水中の境目を様々なシーンで魅せてくれるし、クジラを見上げる黒猫を撮ってるんだけど、その動きはクジラと連動してたり…描き出したら止まらない!

その流れで言うと、森の緑と水の魅せ方も素晴らしい✨
黒猫の住む森の風景は、ひとつとして同じ風景はなく、水辺では湿気を感じるし、家の周りでは温もりを感じる。光の陰影も美しい。

静かに足元を侵食してくる水の恐ろしさ、暗く深い底に沈んでいく恐怖。
一方で自由に泳ぐ海の生物たちを生き生きと輝いて見せてくれる。
船が進んでいく水面は、荒れたりキラキラと輝いたり、水中から水上へ上がる時のライティングや飛沫、たった90分弱の間に、くるくると色んな表情で物語を進めていく。

黒猫ちゃんが何度か覗き込むシーンが印象的な水たまりの質感もとても好き。
最初はいつもひとりしか映ってなかった水たまり…からの終盤🥹

かつて猫好きの人間が住んでいたであろう風景も、いろんな想像を掻き立ててくれるし、黒猫があの周辺でいちばん高い場所だと思っい、水から逃げるように駆け上がるネコのオブジェ。あの上で助けを求めるように鳴く声が切ない。
(関係ないけど大きな猫のオブジェを見て「ねこしま」で猫のオブジェ作ってたお兄さんを思い出したw)

一緒に船に乗り込む動物たちの行動も、しっかり研究されてて、犬の遊んで欲しくておもちゃ持って行ったり、動きを真似たり、おもちゃを取られてしゅんとして伏せちゃうのも見覚えがあるから、可愛くてたまらない。

警戒心の強い猫も懐っこい犬も執着の強いキツネザルも、カピバラが船長(と心の中で勝手に呼んでたw)だから、自然と安心してそこにいられた気がする。
相手がどうであろうとのんびりマイペースなカピバラ。この設定が優勝だよね。
平和な匂いしかしない✨

なのに善意で助けてあげた奴らが、それまでのうまくやってきた仲間の平穏をを壊す…人間界でもあるあるだよね…。

あとは内容に絡んでくるので下記で
↓↓↓↓↓↓↓




















ヘビクイワシやクジラに何度も救われる黒猫。だけど体の小さな猫は彼らがピンチの時に助けてあげることができない。
もどかしいけどそれが自然のリアルで、どうにもできないこととして描かれてるのも良い。
出来ないなりに、お魚を分けたり、横たわるクジラにスリスリする様子が、切なくて胸がギュッとなる。
クジラの想いを瞬きだけで表現してるのも素敵だったな✨

終盤の展開は素晴らしかった。
水が引き、ひとりぼっちになった黒猫が、はぐれてしまった仲間の痕跡(籠)を見つけ、キツネザルを探して走る。
序盤の彼だったら探したりしなかった。
そして再会できたのに知らんぷりされてしまう…あそこはもう「ああ…」ってなったよね。

1人が心地良かった黒猫が仲間の痕跡を辿るだけでも胸が熱くなるのに、一度は知らんぷりしたのに後から追いかけてくるとか!
ずるいわー、しかも一緒に仲間を助けに行くなんて😭
黒猫の姿を見て、同種といることより一緒に危機を乗り越えた仲間を大切に思う気持ちが勝ったのかな。

そこからラストまではもう、全部が尊くてお気に入りです!
もう一度映画館で観たい!
なつこ

なつこ