うめまつ

Flowのうめまつのレビュー・感想・評価

Flow(2024年製作の映画)
4.6
悪い意味で心臓が持たない。猫が溺れるところを一生分見てしまってストレスで過呼吸になるかと思った。楽しくて可愛いより苦しくて辛い描写の方が圧倒的に多い。なのにすぐさまもう一度見たくなるくらい美しい映像だった。没入感が凄まじい。

動物たちは人間の言葉は話さないし擬人化はされてないけど、結構しっかり意志や知能や助け合いの精神まであって船も操縦しちゃうし、物語自体も自然の脅威を描いてはいるけどファンタジックでリアリティラインはあやふやではある。でも猫の動きにかけては超リアル。どんな状況にも対応できる身体能力の高さに改めて惚れ惚れして、猫は余計な演出なんてしなくても存在そのものが芸術ですよね。。と壮大な親バカみたいな気持ちになった。黒猫を主人公にしてくれて本当にありがとう。

私も危険な旅のお供は癒し系のカピバラ先輩がいいなぁとか、メガネザルってそんな生態(ピカピカのものが好き)だったの?とか、ヘビクイワシ船長が格好良過ぎて弟子入りしたいのですが?とか、白ワンコの真っ直ぐな愛情表現が眩しいなぁわふわふとかなりつつ、その不思議な運命共同体の一員になって同じ船に乗ってるような感覚。ただ後半にワンコ4匹を助ける場面いるかな?黒猫がみんなのために獲って来た魚を全部食べたやつ許すまじと思ったし(親バカ発動中)、特に仲間になる訳でもなくさほど展開にも寄与しないので、存在自体が中途半端な気がした。勿論すべての動物が助かって欲しいのだけど。。

以下、ラストに言及します。







アニマル救出大作戦が成功しハッピーエンドかな?とホッとしたのも束の間、不穏な空気で満たされる。なのに水溜まりに映る4匹は平和そのものだ。家族になったように見える。でももう船はない。またすぐに洪水が来て今度こそ何もかも飲み込まれるのではないか?その時黒猫と仲間達はどうなってしまうのか??全て海に覆われた地球は宇宙に流れ出すのか???などとぐるぐる考えてしまう。感情も運命も物語も何処にも着地せずにただただ流れて、流れて、流れ続ける。
うめまつ

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