仁

敵の仁のレビュー・感想・評価

(2025年製作の映画)
4.1
けんた食堂feat.長塚京三やんか

最近とあるお笑い養成所のライブを見に行ったことをキッカケに、『ニン(人)』とは何かについてよく考えるようになった。ニンっていうのはその人の人柄や個性を指すお笑い用語で、「あのネタは誰々のニンが良く出ている」みたいな使い方をするんですね。

ニンが分かりやすいと結構ネタが見易くて、そのニンに惹き込まれた場合はその人が何を言っても面白く感じてしまう、激強かつマストな要素なんですよ。面白かった養成所生はやっぱりニンがよく出てて、コレどうやったら出せるのかな、出たとして魅力的に見せるには...表現力...いや、そもそもその人が持ってる雰囲気もデカいなぁとか色々考える中で、普通に役者と同じやんってなった。いつも映画を見てキャラクターに心掴まれてる時って、そのニンに魅力を感じてるもんね。

前置きが鬼長くなったけども、そういう意味でこの映画の長塚京三はニンが出まくり。長塚京三のニンが映画を引っ張ってる。

中盤くらいまで本当にただのジジイの丁寧な暮らしなのに、見てられるんだよな。見てられるどころか、見てたいのよね。素敵な佇まいをした人の、素敵な質感のある生活は目が離せない。正直夢の展開になってからは話の期待値は下がったけれども、それでも長塚京三の一挙手一投足への興味は薄れないので退屈しなかった。

かつて出演した「恋は遠い日の花火ではない」で有名なサントリーのCMから約30年。長塚京三にとって、恋はまだまだ遠い日の花火ではない...ほっ
仁