オイオイオイ

敵のオイオイオイのネタバレレビュー・内容・結末

(2025年製作の映画)
4.7

このレビューはネタバレを含みます

「負けイベ」に勝ってしまったような完成度。
フランス映画に憧れて作ってみるけど
頓挫するか、完成してもよく分からないものになってしまうのが普通なのに今作は面白い!

鑑賞後に振り返ってみれば序盤の「一線は考えない」といった旨の発言から一貫して迫り来る「敵」と待ち続ける「主人公」の対比が鮮やかに描かれ続けていた。

始めは白黒映画であることに面食らったが、
見続けているうちに暖かみをはらんだ生活感のセピア色に見えてきて引き込まれた。
昼ごはんは麺になりがちだよな〜など共感して見ていたが、次第に夢と現実、妄想と虚構が入り混じってきて儀助と同じ不信感の中、
しれっと重大なことが現実で起こってたりするので後半はずっと俗に言う〈脳が破壊される〉状態だった。
ただ、その中でも原稿の打ち切りや
マンション暮らしを拒んで古い一軒家に住み続ける(新たに井戸を掘り直そうとはしない)儀助、決して自分から相手の家に訪ねることはせず、バーでも向こうからグイグイ来てくれる歩美にカモられる始末の儀助のスタンスは終始一貫としていたし、
最後の自殺+遺言も揺るがないものの代表である「家」の一部に自らがなったんだな〜という感じでぼんやりと合点がいった。

僕も日常生活で些細な違和感を覚えることが
よくあるので、そういった綻びからこの映画のような展開になりかねないと思うと
この映画意味わかんね〜と切り捨てるのは危ない気がした。これもすでに敵の策略か!?

というのが感想で、以下は文中に入れ損ねたものです。
・高齢になっても気合い入れた手料理の練習とかするのか!って思ってたら食べさせる相手が歩美じゃなくて靖子でびっくりした
(ただこれも夢の中の話なのでその後の展開が想像に難くない靖子を選ぶ深層心理が働いたのかも)
・寝てるシーンで画角が少しずつズレて
音声がフェードインすることで目覚めるのを表現してる構図天才すぎて震えた
・河合優実を知ってから今日に至るまで
見た目はあまり変わってないのに、毎回違う人に見えるのすごい、役作りうまい!
オイオイオイ

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