マーフィー

ネムルバカのマーフィーのネタバレレビュー・内容・結末

ネムルバカ(2025年製作の映画)
5.0

このレビューはネタバレを含みます

2025/03/22鑑賞。
鑑賞後舞台挨拶ライブビューイング付き。
(阪元裕吾監督、久保史緒里さん、平祐奈さん、綱啓永さん、樋口幸平さん)

2025/03/28原作読了のため追記。

2025/03/28 2回目鑑賞。

良かった...本当に......。
サントラでネムルバカを聴く度に良さがどんどんどんどん膨らんでいく。
サントラ聞きながら感想書こうと思ってたら聴き入ってしまう。下手したら泣きそうになる。
思い出すだけでめちゃくちゃ良い気分になる。なんだこれ。
もうたぶんもう一回見にいく。何回見てもいける。
バンドマンじゃないのに「バンドマン全員見た方がいい」って思ってる。まじで勝手に思ってしまってる。

原作未読。
阪元監督のファンで、とりあえず純粋に阪元作品を味わうために、あえて原作は後で。

国岡然り、ベビわる然り、阪元監督の映画はどうしてこうも「また会いたくなる」のだろうか。
国岡ファンミが定期的に開催されて、ずっと人気なのも頷ける。国岡真中大坂くんにまじで会いに行けるんだもの。
ネムルバカも阪元監督の過去作と同じようにキャラクターが本当に良くて、そのなんてことない会話に心をずっと奪われて、
その積み重ねが最後に大爆発する。そら泣く。
今は会いに行くなら劇場しかないのよ。何回も行きたくなるし円盤も欲しくなるわな。
もう円盤欲しいです。
誰かがX旧Twitter()で「あのだらだらが永遠に続くものではない事は身をもって知っているからなお愛しい」と書いてたのを見て、
そうなんだよなあ、だからこそ何回も見に行きたくなるんだよなあと思った。
おれは永遠に続くことのないあれを永遠に続けたくて見たくなる。終わる寂しさも含めて。


何者にもなれない。
ぬるま湯のように抜け出せない駄サイクル。
もがく人、つかる人。

このままでいる訳にはいかないと分かっていても、持ち上げられる度に自分の才能に限界を感じるし、駄サイクルから抜け出せないでいる現実。
でもそこから抜け出して手にしたものは、夢を追いかけた先にあると思ってたものとは全然違うもので、
「お前がやりたかったことってこんなことなのかよ」って言われても、それは一番自分が分かってるわっていう。

そんなものを全て抱えて迎えるラストに号泣しない訳がない。

モラトリアム、才能、人生についての苦悩と喜びが全部が詰まったようなこの作品、感情が先行して溢れすぎて、まだ上手く言語化できずにいる。

平祐奈演じるルカの格好良さとダメっぷりのバランス。愛すべき先輩すぎる。
「やっぱ先輩はいいなあ」
そして久保史緒里ダメ人間が似合いすぎてる。
酔った時のおしまい感と、スマホを見てる時の死んだ目。すごすぎる。

ただ好きなシーンを羅列する。
たぶん何度も何度も追記すると思う。

・音楽映画なのにスイカゲームの音楽がBGMとしてまじでいい感じに流れてるのなんなの...すごすぎるやろ......。

・「別の世界にいるみたい」とか「ライブ見てたら寂しくなっちゃった」とかすごい分かる。
誰よりも応援してるけど行ってほしくない。
嫉妬なのか愛なのか、同一性保持なのか独占欲なのか。ただ永遠に今の状態が続いて欲しい。
答えの分からないこの気持ちをなんとか言語化している入巣が本当に愛おしい。

・原作の勧善懲悪のくだりはないけど、
入巣が田口を殴った後の
「勧善懲悪...!」
「いや今のは普通に暴力でしょ」
は入ってる。


・伊能昌幸がいつものあの感じのまま音楽関係者で出てくるのめっちゃ最高だし、
殺し屋密着チャンネルの殺し屋家庭教師として圧倒的な存在感を出す山下徳久が相変わらずのだるいおっさん役で出てきてまじで嬉しかった。
松本卓也も一瞬なのに分かる松本卓也感。

・後でパンフレットでキャスト見たら大坂健太と上のしおりも出てたみたい。
マジで気づかんかった。見つけたい。
→大坂くん2回目で無事見つけました。
上のしおりは大坂くんの話を聞いてる人?

・「紙メニュー好き」好き。分かる。

・広告が1.5倍速の声じゃないのだけ残念だったね。それ以外が全部5億点なのでそんなことはどうでもいいよ。

・居酒屋とその帰りのシーンが好きすぎる。2回目の対比もめちゃくちゃいい。

・ちゃんと仲崎の解説動画見てないのえらいし、
メタ的に映画としても誠実だよなさすが阪元監督、と思った。

・ヒーローになろうとして「変態」はもうドンモモタロウなんよ

・「足出た、怖い」「わかる」
めっちゃ分かる

・マフラー巻かれて「あったけえ...」

・「ジルサンダーです」

・タクシー代の7300円を見つめるシーンは3000円のチケット代、3000円の自販機を思い起こさせて、違う世界にいることを視覚的に表していた

・「コンビニで目についた美味そうなもん全部買って朝まで飲もう」で
飲んでるのがクリアアサヒなんがなんかめっちゃいい。そこで生ビールとか生ジョッキ缶とかじゃないのが何でかわからないけど最高。
誰かこのチョイスが最高な理由を言語化してくれまじで。

・タイトルが出るとこと、バンドメンバーと入巣がA。または人間、のライブを何とも言えない表情で見るところを経ての、最後の入巣の絶叫でマジで泣いた。

・Switchを置く向きが途中から逆になってるのは何か意味ある?

【サントラを聞いて、楽曲について】
PEATMOTHの時のYUKIみたいな声はインディーズ感も含めてめちゃくちゃかっこいい。
A。または人間、の『ハルイロ』の感じはmiwaの雰囲気があるけど、どちらかというと活動休止前のYUIの感情を勝手に重ねていた。
ポップ系の『ユーmore』も水曜日のカンパネラやきゃりーぱみゅぱみゅみたいな、シンガーソングライターではなく別の人に作られた曲を歌ってる感じ。それでいて曲のクオリティが高いのもすごくリアル。
どちらにしてもプロデューサーの売り出し方がもろに出てきて本来のルカのやりたいものと乖離していそうな感じが、前半からの積み重ねとこの2曲の作り方でめっちゃ感覚的に伝わってくる。

脱線するけどプロデュースワークってほんとすごいと思う。現実の話をするとPEATMOTHの曲もAの曲も平祐奈が作ったものではないのに、PEATMOTHの曲はちゃんとルカ自分の歌を歌っているように見えるんだよなあ。

Aの曲やライブが、デビュー前から自分の才能の限界を感じていたルカにとっても何かを諦めて手にしたものであることが伝わるのですごくきつい。笑顔で手振ってんだよこれもうきつすぎるよ。
このタメからの最後の『ネムルバカ』に感情が揺さぶられないわけがないし、入巣の絶叫で涙出まくった。元メンバーの3人がエアで演奏するのもマジで最高。特にドラムよ。





レジェンド面白すぎる。
世に流通するメジャーCDの中で一番ダサいラップなのではないか。
駄サイクルにいる典型的な人間の曲なのにうっかりフィジカルが全国流通しちゃった感。そこまでの勝手な妄想含めて好き。
「俺たち最高だがこっからは群像劇〜」
「世界で一番高精細なお前観測所がここっだー」


2025/03/28原作読了。
追加のセリフがだらだらシーンをより良いものにしてるし、
バンドメンバーの悲哀をしっかり描いているのがマジで素晴らしいなと思った。
おかげでラストシーンが何倍にも良くなってる。
あとレジェンドをラップにしたのも令和版アップデートな感じしてとても良い。
で原作のいいところはちゃんと映画の中に忠実に入ってる感じがする。すごい。



【舞台挨拶メモ】
・それぞれのお気に入りシーンは?
樋口幸平:「4人の海辺のシーン。俳優になって良かったなと思うシーンだった」

綱啓永:「米をこぼすシーン」

平祐奈:「ライブシーンのタイトルが出るところが痺れた」

久保史緒里:「ファミレスのシーン。監督が一番楽しそうに撮影していた。」


・米をこぼすシーンは原作にもあるシーンで、このシーンは一発撮り。
久保史緒里は「庭で何回も練習した」とのこと
阪元監督「ああいう時のティッシュの無意味さを描きたくて」

・タイトルの字を書いたのは平祐奈
・タイトルが出るのは台本の段階では「七味か...」のところの予定だったが、「邦画すぎるな」と思ったとのこと(阪元監督)

・「血が、血が、ニキビだった」のくだりはアドリブで、2人の間でも何も決めていなかった

・舞台挨拶で「ネムルバカ」のMVが初公開された

・ルカ、入巣の靴下には「めっちゃ穴空いてる」(平祐奈)

・伊藤のリュックに貼られているものは、大学の「鯉を見守るサークル」のビラ
マーフィー

マーフィー