【第20回大阪アジアン映画祭　コンペティション部門出品】
釜山映画祭に出た韓国映画、大阪アジアン映画祭ではコンペに出品され、インターナショナルプレミアとなる。

非常に静謐で寡黙な語り口、傑作の予感がした。しかし省略に省略を重ねすぎたのかだんだんと失速…何が言いたいのか理解できないまま終わってしまった。

この監督のアート性を重視した語り口はいいと思いますが、流石に61分は縮めすぎ。必要な部分もカットしてしまった結果、性加害の告発というのも主人公の小説への向き合い方というのもよく分からないままになってしまった印象です。非常にもったいない作品。

• #第20回大阪アジアン映画祭

必要とされたことの記憶、その延長にある実存──第20回大阪アジアン映画祭コンペ。性加害という重たいテーマながら引き算の仕方が素晴らしく、軽やかな心地よささえも感じる61分だった。観客に極力精神的な負担をかけないようにという意図もあるのかもしれない。加害を加害として記憶できていないこと、それでも洗い流せない汚れが確実にこびりついていることの苦しみ。成人向けのネット小説、担当編集者の女性との関係、2度差し込まれるバスルームのシーン、テレビの電源を切るリモコンのクロースアップ、自我の鏡像のような少女。断片から余白を埋める想像力が観客に求められる。主人公の彼女の葛藤を理解するために、次の被害を引き起こさないために。

誰かから必要とされるって本当に甘やかな誘いで、実存が喜ぶから否応なく体が動いてしまったりするよね。その人が必要としてきた動機とか、その内容の善し悪しとか、自分にとっても幸せかとか、そんな諸々とは一切関係なく。私が誰とも交際したくない理由の核はこの現象。

第20回OAFFコンペの中でも出色の秀作です！

メインは女性陣で、男性陣はクセがあったりクソだったりと若干肩身を狭くして観てました笑
主人公がかなり複雑な環境でかつ感情の持ち主なので本編を観たあとは少し頭が混雑してました
その後の登壇＆QAコーナーで監督と主演の方の話を聞いて少しスッキリしましたが、この混雑した感情自体も監督の仕掛けのようで、考察するのもこれまた楽しかったです