さまざまな想いが浮かんだ。
・他人よりも優秀であるがゆえ、そこからこぼれ落ちることへの不安から既存の価値観や行動に囚われる呪縛
→かなり周りにもいる
・人よりも優れている自覚が、他者へ助けを求めることや援助を拒絶してしまうジレンマ
→自尊心とセットになってるから厄介か。
・半世紀もの年月も「結果的には」短いものとなってしまう判断保留のリスク
→先送りは長期の思考停止になってしまいがち
・いろいろなリスクを先読みして恐れるあまり、得られるメリットをも軽視、あるいは拒否してしまう。
→ワクチン陰謀論も同じかも。リスクとメリットを比較する際のバランスが大きく偏る
・親子、兄弟などの肉親であっても本心はおろか基本的な思いさえ理解していない可能性、そしてそれはじわりと傷を深くする。
→わかってくれるはずだのと思い込みは禁物。
・目の前の辛い現実を前にした時、いかに頭脳明晰であっても軽々と宗教や陰謀論、占いなどに依存してしまうか。
→身近で手軽なだけに始末が悪いかも。
・無意識のうちにある時代固有の偏見や差別。それは個人の内面にまで巣食って価値観となり行動規範、常識になる。
→昨今のハラスメントもそうだが、追いつけないほど極端に変化することもある。座敷牢的な隔離は今でも存在してるかもしれない。
本作は具現化された事実(映像)を目の当たりにしながらも、より汎用化・抽象化して、深く考える機会を与えてくれる。
メンタル疾患に関わる作品として以上に、他人とのコミュニケーション、愛するとはどういうことなのか、目前にある課題への向かい方など、枝葉を大きく広げるキッカケとなる佳作。
ぜひぜひ多くの人々に観てもらいたいし、どんな方も見たくなかったものの発見や気づきがあるのではないか。