緑

どうすればよかったか?の緑のネタバレレビュー・内容・結末

どうすればよかったか?(2024年製作の映画)
3.5

このレビューはネタバレを含みます

20代で統合失調症を発症した姉と、
その病気を直視しなかった父母を
弟が撮り続けたドキュメンタリー。

後々作品にする前提ではなく
記録として撮り始めたため、
映像は観やすいとは言えないし、
音声も聞きやすくはないし、
編集は良くも悪くも淡々としていて、
映画として上出来とは言えない。
眠気を誘われ、
初回鑑賞時は起承転結の転で
まるっと寝てしまい、
パンフを読んでから再鑑賞。
今回は違うところで寝てしまったが、
初回に寝てしまったところは補完できた。

監督が大学時代に心理学の先生から
あなたが望むような解決はないかもと
言ってもらえたことは、
この問題への指針となったはずで、
監督が自分の人生を作るにあたり
とても有意義だったはず。

玄関ドアへのチェーンと南京錠が
映されてから少しあたりで、
様々な問題が絡み合った本作だが
家族による精神病患者の監禁が
メインテーマなのかもと気付き、
「夜明け前のうた 消された沖縄の障害者」を
思い出した。

ラストの父親へのインタビューで、
父親は病気を認められなかったことを
肯定した上で、
長年の娘への対応を
「失敗したとは思ってない」と言っていて、
第三者の自分としては、
うわぁ……という暗澹たる気持ち。

中盤で娘への対応について
母親は旦那の意向と話し、
ラストで父親は嫁の意向と話していた。
恐らくは感情の大小の差はあっても
双方共に認められなかったのだろう。
そして、父親はもちろん、
母親もかなりの高齢になってから
話した内容なので、
無意識に記憶の改竄が行われ、
それを事実と固定してしまっている
可能性も感じた。

父母へのインタビューのところは
本作に於いて特に重要と思われるのに
聞き取りづらい部分が多かった。
字幕をつけてほしかったし、
それが無理ならパンフに
書き起こしを載せてほしかった。

「どうすればよかったか?」の
監督なりの答えはパンフにあった。

個人的にはやはり早急に医療に
繋げるべきだったと思う。
病気を放置して体裁だけ整えたとて、
両親に何かあったら本人が生きていけない。
親の責任とは、
親が亡きあとも子が
ひとりでも生きていけるように
することであり、
そのために治療は必須だと思う。
緑