今年最初のスクリーン作品。終始、目が離せず目の当たりにする現実の歪さ、身動きの取れなさに息苦しくなってしまうほどの生活がそこにあった。「どうすればよかったか?」それを考えながら観ていくとこうしたらいい、ああしたらよかったと様々な考えが頭をよぎる。しかし当人、家族たちはどうにもできず彼らの中の最善を選択した結果こうなってしまった。それは現代に生きる第三者だからこその戯言であり、そこで生きている彼らには届かない。
自分の身内に頭の病気を持っている者がいるということを認められない父と、母と、どうにかしたかったがどうにもできなかった息子と、そのままにされてしまった娘の話。
カメラを持っている監督の視線や人となりが筆となり、今作を書き綴っているのだということ、人間のどうにもならなさが良かったと言ったら良くないかもしれないが、良かった。これを公開して、今、監督はいったいどうすればよかったと思っているのだろうか。知りたい。