昨年めちゃくちゃ話題になってたドキュメンタリー映画。界隈での評判の高さもあってかようやく規模が少し広まったようで、何とか劇場で見ることができました。
まずタイトルからしてインパクトがあるわけですが、本作がドキュメンタリーであるということは実際にそういう家庭があるってことでもあるわけで、これはあくまで監督自身の家族の話かもしれませんが、どこにでもある風景というかどこにでも起こり得る現実なんだと思うと、やはりシンプルですがタイトルの言葉がそのまま突き刺さってきますね。
そもそも他人事みたいに捉えてしまっていたのは、自分の身近なところにそういう人がいなかったからであって、不勉強で恥ずかしいのですが、統合失調症というもの自体をあまり認識していませんでした。
これを機に少し調べてみると、100人に1人は起こり得ると書かれており、意外と身近かだったことに驚きました。
そしてどういう症状なのか、ということもはっきりと認知していなかったのですが、思ってる以上に強烈でしたね。
そもそもこういう症状に対して理解がなかった過去のことを考えると、それこそ忌み嫌われるような扱いをされてきたのであろうし、本作においての両親のスタンスも医者や研究者という博識な家庭の中で、そういう症状の子が出てしまうことに対しての印象とかはあったんだろうと思います。
また、【ネタバレ】というほどのことではないのかもしれませんが、治るものなんだということも恥ずかしながら知りませんでした。
だから「医者に連れて行き、合う薬が見つかった」というテロップの後の衝撃的な変化には言葉を失いました。
え、こんなにも変わるの?と。だったらもっと早く連れて行ってあげてれば、とも。
ただ、本作がとにかく生々しいほどリアルで衝撃的だったのに対し、自分には思ったほど刺さらなかったのは、タイトルに対する答えが明確だったからです。
早よ医者に連れて行けよ。申し訳ないですがその思いが先行しちゃうんですよね。
それがどれほど恥なのかということは、恐らくそれぞれの価値観やプライドにもよるのでしょうし、医者任せにすること自体が責任感がないとか思われたりするのかもしれません。そもそも自分が医者なんだったら、その考えが絶対となるのかもしれませんね。
ただ、何にしてもたぶんあの状態を25年とかも続けることなんて自分にはできないんじゃないかと思えてしまいました。いや、実際わかりません。自分にも子どもはいますし、我が子なら、もしそうなったら違うのかもしれませんが、我が子のことを負担に思ってしまうようになったらそれは違うじゃないですか。だったらそうならないために、できることは全力ですべきじゃないのか、と思えてしまって。
だから答えは一択なんですよね。早く関係機関に頼る。最後のインタビューで、「どうすればよかったと思う?」に対して、「失敗したとは思っていない」と答えていましたね。申し訳ないですが、その言葉に込められた思いとかも受け止め切れないと言いますか、最初の医者が何と言おうと、どんな診断がされようと、もっとやれたことあったんじゃないのと思えてしまいました。
まあ所詮他人事みたいに捉えちゃったのかもしれません。うまく感情移入し切れなくて。
ただ、あの回復後の生き生きとした様子というか、繰り返し繰り返し取るピースのポーズがもの凄く印象的で、もっと早く助けてあげれたんじゃないの、と思えてならなくて。回復したという結果論かもしれませんが、なんか歯痒かったです。
それにしてもドキュメンタリーならではのリアルがありましたね。納棺のシーンとかはもちろんマジですもんね。完全に身内しか見れないシーンでしょうし、そもそも家族のそういう姿をさらすのも勇気がいることでしょうし、それだけ覚悟のこもった作品だったことは間違いないでしょうし、今後こんな作品は早々作れないだろうと思うと見ておいてよかったと思える作品でした。