Ren

どうすればよかったか?のRenのレビュー・感想・評価

どうすればよかったか?(2024年製作の映画)
5.0
ひたすらにパーソナルなのに、無関係な人はいないと言い切れる普遍のメッセージ性を持った力強いドキュメンタリー。劇場という逃げられない空間での鑑賞を推奨したい。

一個人が同じ目的で記録した映像が20年分あることがまず凄い。出てくる人物たちが現実に老いていく様を1年毎に追うことが何よりもリアルだと思った。

どうすればよかったかも何も、早く専門医に診せろよという自分の中の結論は観た後も変わらない。しかしそれすら苛まれていた状況がなぜ出来上がっていのか?をじっくり追う100分には意味しかない。

結婚しろと半ば押し付けてくるかつての時代の価値観。鬱陶しいし最悪だが、今作を踏まえると、結婚の本質は「自分のことを客観的に認識できる他人が超身近にいること」なのだと考えられるようになる。自分を救うことは、客観視につなげることしかあり得ない。主観・内輪で動いている以上は活路はない、ということ教材として鮮烈だった。扉を開けることが唯一解だったのに、それが施錠され監禁状態になった瞬間の絶望感はそれだ。
観客は基本的に監督である弟に感情移入し、彼が語気荒く両親を叱責する様に納得するが、ではそれが最適解なのだろうかという疑問も出てくる。弟でなく、同じ内容を他人から言われていたらもっと事はスムーズだったのではないか。

人は一人では生きていけないことをこれほど全身で察知する映画はなかなか無い。統合失調症の発症率は決して低くなく、そのような意味でも、今作が他人事な観客はいないはず。
Ren

Ren