ヨーテボリ映画祭にて。

観客も一緒に感じるストレスがすごい。ポーランド映画だった。「パンと塩」ダミアン・コツル監督作。
ウクライナの家族がスペインのテネリフェ島観光中にロシアのウクライナ侵攻が起こって帰れなくなる話。

富裕層ではなさそうだが、中流家族が優雅で楽しそうな観光客から一転、難民になってしまう。
テイストは全く違うが「ターミナル」を思い出した。が！こちらは温かい話ではなく、とても現実的で切迫した話。
ハネケが「ターミナル」を撮るとこうなるのでは？とか考えた。

周囲は何事もなかったように余暇を楽しみ、焦る家族に不思議な物でも見るような視線を浴びせる。
これ無意識に自分達もやってるんじゃなかろうか？と居心地の悪さをひしひし感じた。
人には事情があるがこの家族の場合は…。人のプライベートにはあまり踏み込まないことが、一歩間違うと無関心でデリカシーがない態度になりかねない。

家族の焦りやイライラの原因はほかの観光客は知るよしもなく。

自分たちだけ苦労せずして安全な場所にいる罪悪感、今まで以上に気になるニュース、その場にいなくても悩まされるPTSD。
楽しいはずの祭りも彼らにとってはもうダメ押しというか傷口に塩塗り込むようなもの。

これはなかなか胃が痛い話だった。

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