タマル

里見八犬伝のタマルのレビュー・感想・評価

里見八犬伝(1983年製作の映画)
2.8
深作映画としては凡作。
角川映画としては満点。

以下、レビュー。

132分と深作映画にしては長尺だなーと思ったらやはり間延びが酷い。 深作欣二の魅力は割り切った映画のスピード感にあると思っているのだけど、本作では割り切りが変なところに出ちゃったせいで、なかなかのことに。

まずアフレコ感がエグい。独り言を喋ってるのに何故にこれほどハキハキと聞こえるのか。重要ながなりのシーンでは声が遠く聞こえたり、ムラが目立った。

音楽の使い方。場面に合わせすぎてて過剰。ショックなシーンではデデーンみたいな。不気味なシーンではドロドロドロみたいな。アクションシーンでシンセサイザーが流れ出した時とか、逆に笑っちゃったけどね。一番笑ったのが薬師丸ひろ子と真田広之がセックスし始めたら、なんかクリスマスソングみたいな英語の歌が流れ始めるところ。
江戸時代だっつーのに!!
深作欣二の美意識はよーわからんわ。
で、このセックスシーン(首筋にキスするだけ)がなげーんだホント。需要があったのだろうか。アイドルファンの気持ちもよーわからん。とにかく音楽の使い方は概ねがっかり。

あと、キャラクターの作り込みがな。千葉ちゃんのキャラとかいったか?ぐらいの感じ。石になった二人組についてもそう。これが七人だったら、また違ったバランスもあったと思うんだけど。そもそも8剣士てのが多すぎっていうのは原作を読んだ時も感じてたし。『バトルロワイヤル』では、あんなに木っ端まで丹念に印象を残していった深作監督とは思えないよ。そんなに印象もないんで、死んでもエモくなりませんでした。

もっと書きたかったことあったけども忘れたんでこれで締め。やっぱアイドル映画ってのはロクでもねー。そのアイドルが好きになれなきゃイラつくことばっかりだし。必然性もない入浴シーンが半端な尺で挟み込まれてるし。このイラつく感じ、まさに角川といった感じ。角川感は味わえたけど、肝心の深作感が不足してましたんで、このスコアです。
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