青二歳

男の花道の青二歳のネタバレレビュー・内容・結末

男の花道(1941年製作の映画)
3.9

このレビューはネタバレを含みます

1941年大好き芸道もの。眼科医必見(かもしれない)。国禁を冒してまでシーボルトから新薬を得た事で知られる西洋眼科の始祖土生玄碩と歌舞伎役者三世中村歌右衛門の物語。古川ロッパ可愛い〜長谷川一夫(既に二重アゴだけど)キレイ〜
講談"男の花道"が元だから史実とまるで違うが気にすまい!講談に事実は期待すまい!
やっぱり踊り自信あるんですねえ、逃げかくれせずバッチリロングショットあり。見事です。フィルム欠損してるけどお話は大体わかる。現存72分もありゃ充分。

講談は…ポピュリズムが要。おかしいだろ…と思うものも多いんですが、いきなり泣かせにかかるものもある。
"男の花道"はどんなお話かと申しますと「医は仁術を地で行くお医者さま(眼科医)が実在するなんて(ウソです居ません)はぁ〜立派だねえ〜」という感じ。清貧というかお金にきれいな人は昔から日本人のなかに美徳として望まれたようです。それから歌舞伎役者の役者生命をかけた恩返しもこれまた「はあ〜立派だねえ〜」という感じ。受けた恩を命よりも大切にする姿勢が泣かせる訳ですね。(イメージは祭りの露店で講談立ち聞きしてるオバちゃんの反応)

でも…お座敷に呼びつけるくだりでこの土生玄硯の通俗さが出ちゃう。映画ではロッパが可愛いしね、粗忽という流れにしてますけど呼びつけるなんて迷惑千万。結構いやなヤツです。だったら最初から適正な報酬を受け取ってくれと思いますよ。
ま、講談でこういう事考えちゃうと楽しめないので、ロッパ演じるお茶目キャラと、純粋を体現化する長谷川一夫の魅力で目をつぶろう。現代の感覚だと玄硯のキャラクターは破綻しますが、そこをカバーするロッパのチャーミングさにやられました。伴淳三郎のリメイクも観たい。

注)講談だと土生玄硯(すずりの字)をあてます。ふざけてて大好きですこういうところ。
青二歳

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