昭和の香り漂う音楽ライター

シマの唄の昭和の香り漂う音楽ライターのレビュー・感想・評価

シマの唄(2024年製作の映画)
5.0
#181 TIFF2024/10本目

ついに来ました、大アタリ!
アフガン映画には、『君のためなら千回でも』など、佳作が多いが、また一つ、加わった。

ソ連のアフガン侵攻による、体制転換の前後を、富裕層と下働きの2人の娘(しかも、一緒に育った親友同士)を軸に描いた脚本が、秀逸。
もう少し、ラバーブへの思い入れを描いてほしかったが、それにしても、よく、こんな設定を、思いついたものだ。
しかも、その悲惨な過去を、現代のタリバン支配に重ねて、普遍的な話に昇華させている点が、見事。
(長回しも、ほぼなく、切り返しもちゃんとあるw)

歴史知識は、ないよりあったほうが、よいけれど、皆無でも大丈夫。
韓国の近代政治映画と同じく、ちゃんと国際市場を意識して作られているので、観ていれば、善と悪が、自然と、わかるように作られている。
これが「映画」だと思う。

劇中の映画館で上映されていたのは、ソ連時代の超名作『怒りの(私は)キューバ』。
これまた、とんでもない映画で、シネマヴェーラ渋谷で、よくかかるので、ぜひ、多くの方に観てほしい。

しかしとにかく、この映画、ぜひ、来年のイスラーム映画祭で、あらためて、解説付きで、かけてください、藤本さん!