ルーマニアの田舎街で勤務する絵に描いたような小役人の警察官が主人公です。パートナーの若い警察官が細かいこと(道のゴミを拾うとかシーツ泥棒をちゃんと捜査しようとするとか)に気づこうとする一方で、主人公は細かいことをやり過ごしながら、日々を生きています。基本的に波が立たない田舎の閉鎖性と、その澱みがうまく表現されています。
この閉鎖性と澱みがゆえにですが、そこそこ退屈です。眠くなるほどではないですが、ついていくのがしんどい瞬間も少なくないです。伏線回収というほどのものが連発するわけでもないので、刺激が多い作品ではありません。
もちろんラストシーンは、タランティーノ的ですし、そこを切り取ればテンションの高い作品です。しかし全体をその色調だと思うと大きな間違いです。楽しい映画という感じを期待すると、かなら裏切られるかもしれません。アカデミー賞的なノリでもないような。
ただルーマニア映画という新たなジャンルに触れられたのはいい経験でした。東欧というとチェコやハンガリー、ポーランドの作品には何本か触れたことがありますが、他の国のイメージがなかったので。国で区切るのが適切か分かりませんが、これからはルーマニア映画にも手を伸ばしていきたいです。