湖畔に住む平凡な夫婦に神が憑依する話。示唆的かつ哲学的な台詞を中心に話が構成されていて、なんだか後期のテレンス・マリックの映画を観ているような難解さがある。そこに主テーマとしての宗教が絡んでくるので余計に。神の不在をこんな真剣に議論しなくてもと私のような俗人には思えてしまう。序盤に「文章を書くのは簡単だけど、作り変えるのが難しい。長い間、うわべだけの言葉を引きずっている」という台詞があって、この言葉の説得力、やっぱりゴダールは映画作家である前に物書きだったのだなと腑に落ちた。
——好きな台詞
「いきなり呼び捨てとはね。僕は小説の登場人物じゃないぞ」
「男を愛する女にとって、どんな男も神の影では」
「すべてが静まり返っていた。宇宙全体が失敗作であるかのように」