「神」が身体に乗り移った、と言い張る男の話。本当なのか、洗脳なのか。
例のごとくゴダールの言葉は嵐のようで、心細さを感じさせ、人を一人ぼっちにする。降りしきる雨に、もはや服はびしょ濡れであるが、段々と、風邪をひいたって構わないとさえ思えてくる。そんな自暴自棄に陥った頃、男は言う。
「話しをやめ 息を殺せ」
「話しをやめ 息を殺せ」
「話しをやめ 息を殺せ」
天気を一変させるように、空が虹を見せるように、突然ハッとするような言葉を放り投げてくる。映像も音も同様に。
この映画のメッセージとしては、「神」という、「見えるもの」なのか「見えないもの」なのかという現像の有無すら思想によって全く異なるようなものは、一生の伴侶と誓い合った夫婦でさえも共有できないものである‥というところだろうか。