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デリカテッセン 4Kレストア版のsymaxのレビュー・感想・評価

4.0
世界は荒廃してしまった…

食糧は不足し人々が飢えに苦しんでいた…パリの町外れにあるアパートメントの大家は、一階で精肉店を営み、新聞広告で餌をまき、罠に誘き寄せ、住み込みで働く入居者をかっさばいて、アパートの住民みんなで美味しく食べていたのだ…

次のターゲットは、ルイゾンという名の元ピエロ…まんまと住み込み仕事に応募してきたのだったが、大家の娘ジュリーがルイゾンに恋してしまう…

私はが予備校生から大学生だった10代後半から20代前半の頃、通いに通いまくったミニシアター…今では閉館してしまった劇場が沢山ありますが…それまで王道のハリウッド映画しか観てこなかった私を目覚めさせてくれた作品の数々…"鉄男"、"バクダット・カフェ"、"ムトゥ/踊るマハラジャ"、"トレイン・スポッティング"…そして一連のジュネ&キャロの作品…特に本作の衝撃は凄かったです。

カニバリズムという狂気をポップでキュートに描きつつ、毒を吐きまくるおとぎ話のような世界観…一発でやられてしまいました。

初公開時に鑑賞していますので、劇場での鑑賞は30年ぶりくらいでしょうか?

ジュネ監督自身によるレストアという事もあり、映像の美しさは流石のものがあります。

ルイゾンを演じたドミニク・ピノンが若い…

ジュネ監督作としては"アメリ"が最も有名かと思いますが、私的には本作の方が好み。

ベッドの軋む音からの凝りに凝った一連の流れなんぞ堪らない展開であります。

私個人的には、何度死のうとしても、ピタゴラスイッチ的に失敗してしまうオーロール夫人とド近眼なジュリーがルイゾンを部屋に招く為メガネを外して練習するシーンの可愛さにやられてしまいました。
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