Monsieurおむすび

間違えられた男のMonsieurおむすびのレビュー・感想・評価

間違えられた男(1956年製作の映画)
3.7
顔が似ているという不確かな証言により強盗の濡れ衣を着せられた男とその家族が、訳もわからぬまま日常から逸脱していく。
これが映画化の数年前に起きた実際の出来事という恐怖も相まって、ヒッチコックらしからぬ純シリアス路線。

通報した市民や証言をした関係者、警察も多少強引ではあるがみんな務めを果たしただけなのに、それによって人生が一変してしまう不条理。
徐々に精神を病んでいく妻とそれすらも静かに受け入れる男。
ヒッチコック作品には似つかわしくヘンリー・フォンダの円熟味ある演技がサスペンスを超えて真に迫る実録ドラマの領域へ踏み込む。
急転直下の結末と夫妻のその後を思うと、悪い夢のような話だ。
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