ふくだ

白夜 4K レストア版のふくだのネタバレレビュー・内容・結末

白夜 4K レストア版(1971年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

最後の動きに、女の魔法とか、道化と呼べるものがあった。この物語ではそれまで紡がれてきた意味を全て一瞬でひっくり返していたが、カラマーゾフの兄弟ではそれが何度も繰り返される。そのグルーヴでアリョーシャの神性を表現したりする。

グルーヴを放つとき、ドストエフスキーは予め、ある種の予感を読者に与える。その予感を裏切るか別の形で表現するかに、カラマーゾフの兄弟の面白さはある。この物語においてはその予感は、女の性質を奥底で感じ取った男が、それまで大切に紡いできた音の中に鳩の鳴き声を加えていた。最後の瞬間の女の動きは鳩の首の動きと同じだな。俺はこの予感を表現する音にAphex TwinのHeliosphanのグルーヴを挙げたい。

自身の予感や、紡ぐ物語に終始するばかりで、しかしそれこそが自身の本質であるとベットの中で言い聞かせながら自分の声を聞く感覚は、ちょっと過去の自分に重なりそうなところがあって良かった。こいつほぼ絵書いてないし。モンパルナスの灯もそうだけど、俺の源流の一旦はこの時期のフランス映画にありそう。

にしても、こんな時期から機械に自身の声を吹き込んでるぞ。過去の方からどんどん伏線を回収しに来ているね。

ショットという観点にはじめて気付かされたかもしれない。女の最後の動きが終わった瞬間に、街に溶けてってた。
ふくだ

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