ぽち

秘録 怪猫伝のぽちのレビュー・感想・評価

秘録 怪猫伝(1969年製作の映画)
2.3
映像、ストーリーともに特筆するような出来ではなく、時代の中に消え去ってしまってもおかしくない作品なのだが、なぜ生き残っているのだろうと不思議に思い調べてみると、キーワードは毛利郁子だった。

今作で「沢の井」を演じ化け猫演技を披露している女優さんだが、今作封切り6日前に殺人事件を起こして逮捕されていて、そのスキャンダルで大ヒットとなったそうだ。

日本では現役女優の殺人事件は後にも先にも彼女だけらしい。
妻子ある不倫相手を殺傷と言う事だが殺人事件のわりに刑期が5年だったようだ。これは実は相手の男がかなりダメ人間で女癖が悪かったのと、共演者の勝新太郎らが減刑嘆願書を提出たためらしい。

減刑のもうひとつの理由がちょっと感動できる。
相手がダメ人間であったのだが、病院に運ばれ亡くなる寸前まで「傷は自分でやった」と郁子をかばったそうだ。
裁判で本妻が「夫が最後まで郁子をかばったのはよほど好きだったのでしょう。夫の趣旨も酌んでどうか寛大な処置をお願いします」
と訴えたそうだ。

自伝でも書けば大ヒットして映画化とかされそうだが、1998年にすでに結婚して平穏な日々を送っているのが確認された後は消息不明だそうだ。

そんなわけで見所は毛利だけで、映画としてはいまいち。せめて猫化した時に猫耳とシッポがあれば萌えたのに、残念。
ぽち

ぽち