片や妹のエレナは元娼婦同様の生活をしていたが今は老富豪の妻、片や姉マリアは現役のしがない街娼で金持ち相手の恋愛詐欺師の女衒ロドルフォの情婦。

コントラストを見せる姉妹の行末は、‥‥という話。

ハリウッド調のウェルメイドなコンゲームだが、マティルダ・ランデタという女性監督の代表作とか。


【以下、一応ネタバレ注意⚠️】










結末は予想がつくものの、終盤の数分間はあっという間の展開。

エレナが夫の株券を盗み出して待ち合わせた現場に駆けつけたマリアは、最初からエレナを殺すつもりでロドルフォが手に隠し持っていたナイフで刺殺され、逃走する彼は警官に銃殺される。

呆気に取られつつ、家に戻ったエレナの前に海外出張中のはずの夫が現れて、「まんまと罠にハマってくれたな。全部お見通しだよ」と言って、コートを剥ぎ取られてから追い出されてエンド。

哀れな姉の方が死に、悪どい妹の方が生き延びる、という訳には行かないぞ、という教訓ということだろうか。

あるいは、タイトルの『街娼』は姉のマリアのことではなく、大富豪の奥方から転落したエレナの行末だという、考えオチのために作られた物語なのかも知れない。

言語以外ではあまりメキシコ味を感じなかったが、マリアの仲間の老街娼の臨終シーンで、医者→牧師→楽士の順で彼女の枕元に現れる。
メキシコでは貧しい街娼でも、死出の旅路は、複数名のバンドによる演唱付きで見送られる風習なのだろうか。

《参考》
＊1 国立映画アーカイブ作品紹介
www.nfaj.go.jp/program/mexico202501-13/
＊＊モノクロ スタンダード

＊2 そして、人生も映画も続く
「メキシコ映画の大回顧」：その（１）『次の夜明けに』と『街娼』
2025/01/21 7:48:00
images2.cocolog-nifty.com/blog/2025/01/post-98bc8c.html
＊＊文中、エレナを家から追い出すのはロドルフォではなく夫の誤り。

《上映館公式ページ》
京都文化博物館
メキシコ映画の大回顧
2025.2.26(水) 〜 3.9(日)
会場： 3階 フィルムシアター
www.bunpaku.or.jp/exhi_film_post/20250226-0309/

「メキシコ映画の大回顧 国立映画アーカイブ」で鑑賞。

姉マリアは街頭に立つ娼婦。
妹エレナは金持ち老人の奥様。
ある夜マリアが、エレナと夫が乗る高級車にぶつけられたことで、2人は再会する。

社会の底辺にいる者と、ブルジョアの妻という姉妹の運命。
そして図らずも2人が愛してしまったのはロドルフォという同じ男。
彼はマリアを働かせるヒモでありながら、金持ち夫人をカモにする女たらし。

エレナは夫の金を盗み、ロドルフォと国外に逃げようとするが、そうは問屋が卸さない。

2人とも美人なんだけど、マリアよりもエレナの方が娼婦っぽかった。
わざとのキャスティングかな？

不倫される、妻よりはるかに年長の金持ちの夫がもっとも理性的であるというか賢い展開は、あまり見たことのない新鮮さはある。その妻を騙そうとする男が別の男を街路で殴りつける場面は、ロングショットで通してほしかった気持ちもある。