このレビューはネタバレを含みます
喪服姿の博子が銀世界の中を横断し、ゆっくり街へ降りていく冒頭のロングショットがあざとくて良かった。ただ、台詞と中山美穂の演技にもあざとさを感じてしまい、こちらは逆に痛さを感じて好きになれなかった(それがラストの「お元気ですかー!」にも集約されていたと思う)。それでも映像がいいので見れていたけど、小樽での主役二人のニアミスをピークに以降は失速していく。藤井樹の中学時代のエピソードが出てきてからは小さなエピソードが小出しにされるのもあり、冒頭でかけられた魔法が力を失っていったように思います。
中山美穂が一人二役でそれぞれの主人公を演じているけど、シームレスに視点が切り替わるので戸惑う時があった。大抵は会話などで把握できるようになるけど、把握できるまでのタイムラグがどうしても発生するのが気になる。中学時代の藤井樹は酒井美紀が演じるのでこれまたややこしいという……。
藤井樹にネガティブな印象はないけど、博子は秋葉への曖昧な態度にちょっとイラッと来たし、いきなり粉薬やカメラを送りつけたりするようなズレてるところが苦手だし、最後まであまり好きな主人公ではなかったな。秋葉は関西弁をしゃべるのに、何故か博子はしゃべらないところも白けてしまった。とにかく映像以外は合わなかったなと。