このレビューはネタバレを含みます
旦那を山登りで失った女。
ある日、彼女は旦那の遺品を整理していると住所が書かれたメモを見つける。
面白半分に手紙を出すと、辿り着かないはずの手紙は誰かに届き、なんと返信が来る。
実は旦那は元々北海道の出身だったのだが、中学時代、同姓同名のクラスメイトがいたのだった。
そして、彼女らは気付かなかったが、同姓同名の女性と妻は同じ容姿、顔立ち(中山美穂)だったのだ。
二人の女性は奇妙な関連を持ちながら、手紙のやり取りを続ける。
北海道の同姓同名の女は、学生時代の奇妙な出来事を追っていき、彼との思い出を思い出しながら手紙を作る。
同姓同名だったのにずっとクラスが一緒だったこと、同じ図書委員だったこと、彼が本ばかり読んでいたこと、陸上部の短距離走の選手だったこと、交通事故で複雑骨折をして中学最後の試合に出られなかったこと、当時の彼には恋人がいなかったこと、そして、父の死で自分だけ新学期を迎えるのが遅くなってしまったとき、彼が転校してしまったこと。
夫の走ったグラウンドを見たいと言ったから、母校を訪れ写真を撮り、教室に不法侵入すると、当時を知る先生に出会う。
先生は図書室に案内すると、驚いたことに生徒たちは彼女の名前を知っていたのだ。
理由は、80枚近い図書カードに彼女(彼)の名前があったからだ。
兵庫で彼の三周忌を弔う女は、職場の男とその不思議な関係を追いかけることにする。そして、現に北海道を訪れ旦那と同姓同名のペンフレンズに会おうとする。
しかし、残念なことに風邪を引いて病院にいっていたため、会わず仕舞いとなる。
彼女らは出会うことなく、元妻は彼を忘れるため、昔の同級生は彼を思い出すため、手紙を交換し続ける。
元妻は、辺り一面真っ白な雪化粧に覆われた朝日を前に、亡くなった夫に別れを告げる。
一方北海道では、母校の生徒たちが、彼と最後に言葉を交わした際に手渡しされた小説「失われた時を求めて第七章」を持って彼女の家を訪れる。
その図書カードには、同姓同名の彼の名前と、裏面には彼女の顔が描かれていた。
彼は新たな地で、自分が学生時代好きだった女の子によく似た女性と出会い、そして結婚した。彼の想いは奇しくも妻を通して、届かなった愛の思いを届けた。
妻は忘れるため、同姓同名の彼女には思い出してもらうため、不思議な縁の力は亡くなった彼の願いを叶えていったのである。