ベルリン国際映画祭にて。
ミシェル・フランコが前作に引き続きジェシカ・チャスティンと組んでる。期待値上がっていたがそこまでは至らなかった。
主導権を取り合う愛憎劇。今度はイヤな話寄りか善きヒューマンドラマ寄りかどちらだろう?と思っていたが…どちらかというと前者だけど、過去作に比べると弱い気がする。
ジェシカ・チャスティンが若いメキシコの不法移民を愛人にして搾取する裕福な慈善家を演じているのが興味深い。
メキシコ国境で不法移民の容赦ない状況を序盤から見せられこれは一体どうなるんだ?と期待値上がったが、その後はバレエカンパニーのオーナーで慈善家のジェニファーがメキシコから来たバレエダンサーを囲う話になっていく。
移民のシンデレラストーリー、アメリカンドリームを掴む、そんな話ではなかった。
ジェニファーはバレエダンサーのフェルナンドをサポートはしているようだが、それと引き換えに愛人としているようで。
才能のあるダンサーは他のプロの目にも止まりだし、コントロールしていた側のジェニファーの立場は簡単に覆る。こうなったらもう嫌がらせの応酬みたいに主導権を取り合い、甘かった序盤の雰囲気が嘘のように二人の関係にヒリヒリした緊張が走る。
でもこういうのメロドラマ、ドロドロ愛憎劇の範疇だよねと思ってしまい、終盤に静かな衝撃は訪れるものの、物足りなかった。驚きはしたけども。
ジェシカ・チャスティンがムカつく富裕層を体も張って演じているし、フェルナンドを演じたのは実際のバレエダンサーだし、普通に見ればそこそこ面白い話なんだけどやっぱりミシェル・フランコにはもっと厭な話を期待してしまう。
世間で温かい人間ドラマと言われてる「あの歌を憶えている」ですら不穏で残酷で厭な部分あったので。