Pepe

レックのPepeのレビュー・感想・評価

レック(2007年製作の映画)
2.7
モキュメンタリー映画について…

モキュメンタリー風
ジャンプスケア
(急な音などのショックで驚かすホラー)
シェイキーカム
(ビデオカメラ等による主観撮影)
と僕の嫌いな映画スタイル3つ全てが揃ってる映画ですが友達の大好きな映画なのでもう一度鑑賞してレビューすることに笑…

スペイン制作のモキュメンタリー風ホラー映画で後にアメリカでもリメイクされた映画ですがこの手の映画はたくさん制作されてるので評価されないと思いきや超辛口批評サイトのロッテントマトでも90%とかなりの高評価です。なぜそこまで高評価なのか?

モキュメンタリーとはご存知の方もいるようにビデオカメラ等を用いて架空の出来事をドキュメンタリー風に制作された映画のことを言いますが、モキュメンタリー映画はかなり前から存在しますが特にモキュメンタリー・ホラーは興行収入をかなり稼げるためここ最近(2000年以降)ホットなジャンルになっています。

モキュメンタリー・ホラーの代表作の制作費と興行収入の例として
『ブレア・ウィッチ・プロジェクト』
制作費600万円
興行収入240億5000万円
『パラノーマル・アクティビティ』
制作費150万円
興行収入190億円

そして今作
『REC/レック』も
制作費2億円
興行収入29億円
とアメリカ制作の前2例と比べると劣りますが少ない制作費にしてかなりの高収入です。
もちろんモキュメンタリー映画は話題性とクリエイティブな宣伝法というなによりも強い味方がいるのでここまで高収入なわけですが…
『ブレア・ウィッチ・プロジェクト』も当時、実際に学生3人が行方不明になったかのように宣伝し世間で話題になりましたし『パラノーマル・アクティビティ』も観客が鑑賞しながら叫んでるCMやスティーブン・スピルバーグがそのあまりの怖さにリメイクを断念したなどいろんな宣伝がされみんな当時観に行ってました、

そんなモキュメンタリー・ホラーですが
先ほど例に出した2作以外にも
モキュメンタリーの原点でもある
イタリア映画の
『食人族』や
(この映画も子供の頃から母親に観させられてトラウマになりました笑。特に裸の女性が串刺しになってるシーンは)
日本映画の『ノロイ』
その他にも
『アンフレンデッド』『ラスト・エクソシズム』『グレイブ・エンカウンターズ』『パラノーマル・アクティビティ』シリーズ
などこれ以上に数えきれないほどのモキュメンタリー・ホラーが制作されています。
それだけたくさんのモキュメンタリー・ホラーが制作されていて、さらにほとんどが酷評されている中何故この映画は評論家から90%の高評価を受けたのか…
やっと本題に入ります笑。

まずその前に簡単なあらすじを…
深夜の消防士に密着するリアリティ番組の撮影をしていたカメラマンとレポーターのアンヘラは通報を受けた消防士とともにアパートへ向かう。そこで未知のウィルスに感染し凶暴化した人々を目にする…

まず当然な話ですが観客がホラー映画を観る理由は怖いものが観たいからです
(彼女との距離を縮めるためのデートも含め)
その点この映画は大成功です。
ホラー映画をたくさん観る人には予想のできるジャンプスケアもたくさんありますがただただジャンプスケアを怖がらすために使うだけでなくある意味お化け屋敷のような使い方をするのがとてもうまいです。
特にラスト3分は身の毛のよだつほど怖く気味の悪いシーンになっていてブラボー。
ビデオカメラの利点を上手く使えています。
またアパートの建物ごと封鎖され感じる閉じ込められた恐怖や自分にも起こり得る恐怖などうまいところをついてきます。

また無駄をしっかり省けていて結構すんなりと本題に入ってくれるのでありがたい。テンポが良いです。
演技もモキュメンタリー・ホラーにしてはよくできていてびっくりしました笑

なによりも賢いなと思ったのは
消防士さんがどちらかといえば優しいヒーローで警察がどっちかといえば悪いやつみたいな描かれ方がされているところです。
9/11以来消防士は特に人名救助のヒーローとして人々の記憶に残っていますが
どちらかといえば
(これはアメリカの話ですし警察も素晴らしいですが)
警察は汚職や暴力の話題が絶えません。
そういう潜在的意識をうまく使えていたなと思います。だからこそ消防士さんが近くにいてくれたシーンには安心感がありラストいない時の絶望感を感じられました。ジェットコースターみたいな気分ですね笑

混乱と絶望、リアリティがとても良いテンポで描けていて怖いシーンをとても上手く撮れていたと思います。
僕はラストの方で最上階から螺旋階段?の下を見ると無数のゾンビ?がこちらを観るシーンです。
そして1番アホだなと思ったシーンはその直後の逃げてドアを閉めた後15秒ほどでゾンビが諦めて去っていくシーンです。
いや他のシーンではシャッター開けてでも追いかけてきたのにドア一枚で諦めるんかい、都合良すぎだろ
と思いました笑。

色々褒めましたが個人的にはあまり好きではないです笑
やはりシェイキーカムを使ったモキュメンタリーは僕の中ではあんまし映画として観れないですし特にこの映画は揺れすぎ笑
あと先ほど行ったような都合のいい場面が多い。すごい良いタイミングで女の子が発症したり、すごい良いタイミングでおじさんの立ち位置が変わって襲われたり、観ればわかります笑
ストーリーを進めるためとはいえ不自然に都合がいい。
そして僕にとっての1番の問題点が主人公の動機です。
そんなめちゃくちゃ仕事に熱心なレポーターというわけでもなかったのに急に「ここで起きたこと全て撮って世に知らせるの!」みたいな感じになりますが正直その説得力がない。いや確実にカメラマンはあんな命を懸けたサバイバルの中ずっとカメラ持ってられない。

ただホラー映画として怖いというのが大前提なんで良かったですね、
モキュメンタリーホラー映画を勧めるなら
今作と『ブレア・ウィッチ・プロジェクト』と『食人族』を勧めます。
Pepe

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