leyla

雁のleylaのレビュー・感想・評価

(1966年製作の映画)
3.7
森鴎外原作、広池一夫監督。
高峰秀子版が観たかったのですが、ないので若尾文子版。ジャケの美しさは裏切らない♡

まだ東京に雁が飛んでいた頃(明治時代)、貧しい家に生まれたために幸薄いお玉の悲恋を描く。

貧しい長屋暮らしのお玉(若尾文子)と年老いた父は、飴を売り細々と暮らしていた。近所の世話焼きの口ききでお玉は呉服屋の妻になる。しかし、呉服屋とは真っ赤な嘘で、実は高利貸しの妾だった。

もう前の暮らしには戻りたくはないという老齢の父のため妾をやめることもできず。そんなある日、出会った医大生(山本学)に思いを寄せるが…

妻と妾が同じ傘の柄で出会うシーンの緊迫感。妻(山岡久乃)の嫉妬心もまた切ない。

雨の中、好きな医大生の後をつけていくお玉の一途さが愛らしい。ヘビに絡まれた鳥籠の中の鳥のように医大生に救って欲しかったはず。

若い医大生の明るい未来に対し、お玉の未来はなんて暗いんだろう。当時の女性の生きづらさが伝わります。

大袈裟な劇伴がうるさく感じたのと、映像や展開が今ひとつグッと来ない印象。

当時の不忍池の周辺や無縁坂の風景が興味深く、Google earthで見比べました。
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