このレビューはネタバレを含みます
BSでやっていたので、久々に視聴。
「弱小チームが独自のデータ分析で勝利を目指す…」という出だしは、まるでゲームの裏技を見つけたかの様な興奮があって、ワクワクさせられる。
ところが、中盤以降なかなかテンションが上がっていかない。
監督が主人公の指示に従わない事で、むしろイライラさせられる場面が多いからだ。
しかし、このイライラを十分に味わい、切羽詰まった状況に置かれるからこそ、主人公のクビをも覚悟した信念にグッと来てしまう。
選手を入れ替えて以降、チームは連勝街道に乗るものの、それでも爽快感を感じさせる場面は少ない。
むしろ、カタルシスは抑制されており、唯一全面的にカタルシスを解放させる場面は、ハッテバーグがホームランを打つ場面くらいではないだろうか。
チームが好調であっても、選手を解雇する様なシーンが挟み込まれるし、主人公の挫折した選手時代も定期的に挟み込まれていく。
そうしたプロの厳しさ…もっと言えば、人生の厳しさをきっちりと描いているからこそ、主人公の勝利と選択に深い感動を覚えるのだろう。
画作りから脚本に至るまで、徹底的にシリアスに作り込む事で、野球ファン以外にも響く、普遍的で大人の人間ドラマへと昇華しているのが素晴らしい。
もしも自分が監督だったら、お手軽なコメディーにして、もっとエモい話にしたと思う。
それでも十分に面白くなった気がするのだが、そうしなかった事に、この映画の凄さを改めて感じた。