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氷点のbluetokyoのレビュー・感想・評価

氷点(1966年製作の映画)
2.9
話自体は面白いのだけど。
原作は読んでいないが、原作の筋を追うだけで終わってしまっているような気もする。改編とまではいかなくとも、もう少し、変更してもよかったのかもしれない。

簡単にあらすじ。
辻口啓造は病院に勤める医者である。妻は、夏枝、いい女的な存在で男が好きである。子どもは、兄の徹、妹のルリ子。
夏枝は男好きなので、眼科医の高木と不倫している。啓造は気付いていて、イラついている。
夏枝と高木が浮気の真っ最中に、娘のルリ子は不審者に殺害された。
自責の念に駆られたのかどうか不明だが、夏枝は悲しんだ。
そこで、啓造は養子を迎えることにした。ただ、それだけだと面白くないので、ルリ子を殺害した犯人の娘を養子にすることにした。もちろん、夏枝にはその事実は伏せておく。娘の名前は陽子。
殺人犯の娘を、そうとは知らないでかわいがる夏枝の姿を見て、啓造はほくそ笑むのであった。
月日が経ったある日のこと。養子の手配をしてくれた高木への手紙を見つけた夏枝は、すべてを知ってしまう。
なぜか、陽子の兄の徹も知ってしまう。
徹の友人の北原が遊びに来たとき、陽子に興味を持つが、それ以上に、夏枝は年甲斐もなく北原に興味を持つ。男好きの血が騒ぐのである。
北原と陽子が急接近していくが、嫉妬に駆られた夏枝が色々と妨害する。
妨害は、結局すべて失敗に終わる。ついに、夏枝は、北原と陽子がいるところで、この女は、自分の娘、ルリ子を殺した犯人の娘なのよ、と言ってしまうのだった。
陽子は傷付いて、遺書を残して、外に飛び出し、睡眠薬自殺を図る。
発見されるが、危険な状態。そこへ、高木が駆け付け、実は、陽子は、殺人犯の娘ではないと、告白するのであった。ま、そうだろうな。
陽子は助かる。終わりである。

原作は読んでいないものの、面白そうだ。夏枝が陽子の秘密をばらしてしまうところは、小説だと、さらっと書いてあるに違いない。映画にすると、なんとも無理やりでグロテスクなシーンになってしまう。夏枝が男狂いのおばさんにしか見えないのだ。

もう一つ気になるシーン。陽子が丈の短いスカートでソファに横たわって寝入っている。そこへ、啓造が入って来る。啓造は、しばらく陽子の太腿を見入っている。自分の本当の娘ではなく、さらに、殺人犯の娘である、というところで、エロいことを妄想しているのだろう。
原作にあるのかないのかわからないが、なぜ、こんなシーンがあるのだろう。

男狂いの夏枝と歪んだ嗜虐姓を持つ啓造の夫婦、こちらの方がよほど、映画作品的には興味深いと思う。
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