このレビューはネタバレを含みます
汚くてえげつなくて血塗れで糞ったれで、オシャレでスタイリッシュでポップで最高な映画。ハートわしづかみ!そのまま握りつぶし!
何が最高かって言うと、徹底的な推し愛。
まず、エドワード・スィアドア・ゲイン推し。
拷問屋敷の装飾がもうえげつないほどゲイン。
白骨だらけのインテリアがあぁもう。
愛しか感じられん。
さらに『悪魔のいけにえ』愛(そもそもこの作品がゲイン愛であるが)。
虐殺一家の家族構成や狂気臭。ドラァグクイーンや知的障がいっぽい巨漢などキャラが濃すぎてもうたまらん。
夕食シーンの仮面強制装着もぷんぷん臭う。自分はこういう臭いを嗅ぎたかったんだなぁと逆にホッとする(意味不明)。
一家の楽しそうな雰囲気なんか、『悪魔のいけにえ』好きすぎて似過ぎちゃったまである。愛があればギリセーフ。
ラストシーンの朝焼けの中など、チェーンソー持った彼が道の真ん中で踊ってるんじゃないかとワクワクした。
その他にも、私好みのセンスあふれるシーンが盛りだくさん。
モノクロだったり単色だったり、ザラザラしたインサートがポップで美しい。
若い警官が撃たれるシーン、長すぎる間にジラされ過ぎて、引き金が引かれる音とともにイッてしまった(比喩です)。
フィッシュボーイは、MoMAに展示されてもいいレベルでアート。江戸川乱歩臭も漂ってきてたまらない。
狂気シーンが美しすぎて、まともなシーンが嘘くさく見える。
ラストシーンも無意味に儀式めいたりして、もうとっちらかってる。だがそれがいい。
カメラワークも最高だしもぉお腹いっぱい、でももっと、あぁもっともっとと悶えるばかり。
総括。本作はトラッシュお化け屋敷。世界中のゴミ箱からおどろおどろしいものを集めつなぎ合わせて作った、現代風な仕掛けもストーリーもなにもないお化け屋敷。つまり、映画そのものが「リアル・マーダー・ライド・ショー」なのである。
そしてこれが、どんな芸術にも優る唯一無二の作品となった。理解できない人もいるだろう。だが、それは世の常。本当の評価は作者が死んだあとに与えられるなんて陳腐なセリフだが真実でもある。『悪魔のいけにえ』だって、MoMAに収蔵されたのは初上映から何十年も経ってから。本作なら、熱海の秘宝館あたりだったらいますぐにでも収蔵(上映)してもらえるのではないか。
とまあ、テンション高いままの感想となり恐縮至極だが、熱量は伝わったかと思う。
信じて観るかはあなた次第である。
そして私は死ぬまでに、スポールディングスの館に行き、マーダー・ライドに乗りたーい。同行者募集中。