キャバレーの女性歌手（浅丘ルリ子）と同居することになった寅次郎（渥美清）が、共同生活を受け入れられずに放浪してしまう。国民的人情喜劇シリーズの第25弾。
ファンのあいだで高い人気をもつ「リリー3部作」の3作目（第48作目にもゲスト登場しているが）。浅丘ルリ子が「女性視点の寅さん」を熱演しており、ガリガリの痩身とケバいメイクが、劇中の人間像とマッチしている。とにかく、存在感と実在感が半端ない。
物語の主なる舞台は沖縄。寅次郎の飛行機初搭乗が描かれるのだが、妹さくらの「飛行機に乗ったことないから気づかなかった」という台詞回しは、第12作目「私の寅さん」の内容と矛盾している。
寅次郎とマドンナは、ひたすらドサ回りを繰り返す、運命共同体として結ばれている。殻を破ることができない寅次郎と、一瞬でも殻を破ろうとするマドンナ。そんなふたりの「Let it go!（流れに沿って進むしかない）」が、ユーモア満点に描かれている。
