ペルー映画祭3。
高際裕哉氏のアフタートーク付き。

アマゾン流域の貧困地域で性暴力に晒され、おそらく亡くなっていったであろう多くの少女や性的マイノリティの人々。
語り部の「タニア」とは、それら虐げられ、人としての尊厳を剥ぎ取られ、「私」を失った人々の集合体である。

タニアは、感情も抑揚もなく、淡々と悲惨でおぞましい状況を語る。
アマゾンの湿度の高い生命力溢れる自然と、モノのように扱われ無き者／亡き者とされる人々。
そのコントラストに目眩がする。

冒頭でタニアが「警察は私が、記憶障害を起こしている、という」と語る。
ちょうど現在読んでいる、中澤正夫『ヒバクシャの心の傷を追って』岩波現代文庫、のお陰で、この言葉が強く印象に残った。
大きな悲劇を目撃／体験した際、自己防衛または心の許容量を超えると、人間は「生きるため」に記憶障害を起こす、と述べられている。また、それが起きたこと自体が、その人がどれだけ過酷な状況にあったかに思い至る、と。
映画内で語られた事ごとは、「語れた」範囲である…それでも、耳を覆いたくなるような証言多々。語られた以上の凄惨な状況が、幼く無力な彼／彼女らの上にあったと想像すると、哀れで涙が溢れる。
生きて、語ってくれたタニアたち。ヒバクシャ同様、彼／彼女たちのような人々がこれ以上現れない世界を願う。

記録

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